「悟……どうしたの?」
「どうしたの、じゃないわ! 大輝に聞いたんだよ」
「え、大ちゃん?」
大ちゃんがどうしたんだろう……聞いたって、いつどこで?
「はぁー……まぁ、いい。それよりも迎えに来たんだよ、無職女!」
「そんな言い方ないでしょ! もう、私一人で帰るから!」
「な、何言ってんだ……!」
悟こと、藤堂 悟は私の弟であり藤堂家の長男で後継者。悟は、一族の中でも能力の高い退魔士のひとりである。
「……喧嘩するな、悠花抱っこして」
へ……? そう思って大ちゃんの方を見ると猫ちゃんになっていて「ニャーニャー」と甘えたように鳴いている。
つぶらな瞳で見つめられたら断ることができない。いや、できる筈ない。
「もう、仕方ないな〜」
私が猫ちゃんバージョンの大ちゃんを抱き上げて「可愛い〜」と頭を撫でる。大ちゃんを抱っこしながら家へと歩き出した。