「でも、大ちゃん怪我してるでしょう?」
「は?」
「あれ、違った? 黒いモヤがお腹らへんに漂ってるのが視えたから……それにお酒飲むなんて」
私の勘違いだったのかな、と思うけど彼の右腹に手を当てる。すると痛そうに顔を歪めた。それに、邪気に包まれているような……。
「私を頼ってきたんじゃないの? 私といるだけで浄化作用があるって言ってたし……」
手を大ちゃんの右腹に触れて呟く。
「六根清浄急急如律令」
唱えると、その部分が光り出し邪気が消えていく感覚を受ける。
「……どう? 痛くない?」
「ん、良くなった。ありがとう」
「どういたしまして」
帰ろうと家の方角を向くと「悠」と呼びこっちにやってきた。というか、迎えに来た?