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 店から家までは徒歩十五分で、近くて遠い距離。まあ、いつもなら普通の帰り道。なのに、寒気とともに現れた蛇のような……あやかし?

「ヒッヒッヒッ……」

 あのお守りがないし、霊力全開になってるのかもしれない。私には、攻撃能力ないし……どうしようかな。私には視えても、他の人には視えないから防犯ブザーとかは使えないし。
 目の前の蛇さんは、手がたくさん出てきてなんかグロい。不気味な声を出してる。ここで悟がやって来ないかな……なんて考えていると「ゔっ」とつぶされたような声が聞こえた。
 顔を上げると、目の前には大ちゃんがいてもう蛇くんはいなくなっている。

「……あ、大ちゃんありがと。助かったよ」
「助かったよ、じゃないだろ! 大切なもんを俺に預ける馬鹿がいるか!」
「え、あー……あはは」

 そんなに怒らなくてもいいじゃん。