中学になってからはずっと新藤って呼ばれていたのに、不意に小学校の時のように下の名前で呼ばれて、考えていた言葉がどこかへ飛んで行ってしまった。
「尚君……」
早く良くなってね。初詣の時、ありがとう。……ごめんね、尚君の大吉のおみくじ……。ありがとうもごめんねもタイミングを逃したせいでなんだか薄っぺらく思えてしまう。
それでもちゃんと伝えるんだ。どんなに恥ずかしくたって、ここで言わなきゃずっと引きずってしまうから。
わたしには尚君に言えずにいまだに引きずっていることがあった。小学6年生の時だ。その時にはもう尚君のことが好きで、友達にからかわれたことが恥ずかしくて「尚君なんか好きじゃない」そう言ってしまったのだ。それ以来尚君と遊ばなくなってしまった。
そんなことは覚えていないかのようににこにこと笑ってる尚君を見たら、やっぱり一緒の高校に行きたいと思った。
「しっかり勉強してよね。わたしも頑張るから」
「お、おう。智花って志望校、北高?」
「うん」
「俺も。頑張ろうな」
わたしは持ってきていた小さな紙袋を尚君に差し出した。だいぶ早いけど、バレンタインチョコレート。学校では渡せないから。お見舞いだからってことで恥ずかしいのをごまかしてたことは内緒。
「尚君……」
早く良くなってね。初詣の時、ありがとう。……ごめんね、尚君の大吉のおみくじ……。ありがとうもごめんねもタイミングを逃したせいでなんだか薄っぺらく思えてしまう。
それでもちゃんと伝えるんだ。どんなに恥ずかしくたって、ここで言わなきゃずっと引きずってしまうから。
わたしには尚君に言えずにいまだに引きずっていることがあった。小学6年生の時だ。その時にはもう尚君のことが好きで、友達にからかわれたことが恥ずかしくて「尚君なんか好きじゃない」そう言ってしまったのだ。それ以来尚君と遊ばなくなってしまった。
そんなことは覚えていないかのようににこにこと笑ってる尚君を見たら、やっぱり一緒の高校に行きたいと思った。
「しっかり勉強してよね。わたしも頑張るから」
「お、おう。智花って志望校、北高?」
「うん」
「俺も。頑張ろうな」
わたしは持ってきていた小さな紙袋を尚君に差し出した。だいぶ早いけど、バレンタインチョコレート。学校では渡せないから。お見舞いだからってことで恥ずかしいのをごまかしてたことは内緒。