秋風が吹き始めた頃、涼子先生が結婚式を挙げた。

式のあとも、変わらず教壇に立って、英語の教科書を読む先生。
そんな先生の声を黙って聞いている、生野くんの横顔を遠くから見つめる。

生野くんに、まだ彼女はいない。

私の気持ちも生野くんの気持ちも、今はまだ変わらない。

だけど数ヶ月後には、私たちはこの教室から旅立ち、新しい生活を始めなければならないのだ。

その時、私は、生野くんは、誰を想っているのだろう。
誰かの隣に立つ生野くんは、私の大好きな顔で笑ってくれているだろうか。