「生野くんっ」

教室のある四階の上。屋上へ続くドアに手をかけた生野くんが振り返る。

「萩原さん……」

階段の途中で立ち止まる。生野くんがじっと私のことを見ている。

「なに?」
「あ、あのっ……」

どうしよう。どうして私、こんな所までついてきちゃったんだろう。
心臓がドキドキして、涙が出そうになる。

「俺、次の授業出ないけど」

そんな私の耳に生野くんの声が聞こえた。

「萩原さんも、一緒に行く?」

校舎に響くチャイムの音。もうすぐ午後の授業が始まる。

今日の五時間目は、涼子先生の英語の授業だった。