窓の外に雨が降る。
私は雨を見るふりをして、生野くんの横顔を見る。

教科書を読む涼子先生の綺麗な発音。
女の子たちのくすくすとした笑い声。
窓の外に響くかすかな雨音。

そんな教室の中で、生野くんの視線は涼子先生だけに向いている。
私がその横顔を、見つめているのにも気づかずに。

「先生! 質問してもいいですかぁ?」

そう言って一人の女の子が立ち上がったのは、授業終了のチャイムが鳴ったあとだった。