放課後、三組の教室をちらりとのぞく。

何人かの生徒に混じって、生野くんの姿が見えた。
そしてそんな生徒たちの机を一人一人回りながら、ノートを覗き込んでいる先生。

先生の名前は桜井涼子。

小柄で可愛らしい雰囲気の先生は、教師というより友達みたいな感じで、みんなに「涼子ちゃん」なんて呼ばれている。

私はその場に立ち止まり、涼子先生から生野くんに視線を移した。

机の上にノートを開いている生野くんは、黙ったままずっと、先生の姿を目で追っていた。