「なに? もしかして萩原さんも赤点?」
「まさかぁ、そんなわけねーだろ? 萩原さんはお前と違って真面目なんだから」
「だよなー」

菊池くんの声に生野くんが笑う。
でも生野くんだって真面目に聞いてた。英語だけは。

「英語、好きなんだと思ってた」

そうつぶやいてから、慌てて顔をそむける。
そんなこと言ったら、私が生野くんをいつも見ているのがばれてしまう。

すると私の左側で、生野くんのかすれるような声が聞こえた。

「好きだよ? 俺、英語」

ぼんやりと前を見た私の目に、他の生徒たちと笑顔で話をしている、先生の姿が映った。