第三話
白銀の髪の少女と出会ったのは、数日前のこと。
リーゼたちが旅立ったあと、ジュードはギルドに足を運んだ。

そこに、彼女たちは現れたのだ。
女性だけで構成された五人組パーティー。
全員が第一加護を極めた証である、紋章を身体に宿していた。

先頭に立つ白銀の少女は、ギルドに足を踏み入れた瞬間、凄まじい闘気を放ったのだ。
子供も魔物も並の冒険者も気づかないが、武を極めた者にだけ届くような研ぎ澄まされた闘気。

ジュードがそれを感じ取ったことに気づいた少女は、嬉しそうに笑い、話しかけてきた。
いわく、この街の戦力がどれだけのものか確かめたかったのだという。
彼女ほどの実力の持ち主でなければ、あの闘気には気づけない。

どうやらジュードはお眼鏡にかなったようだ。
第二加護を授かる儀式を行える場所は、大陸でも限られる。
彼女たちのパーティーがこの街にやってきた理由はそれ。

その時は、単に優れた冒険者という認識だった。
彼女がリーゼと同じ『全能力特化』という加護を持っていることには驚いたが、それだけ。
名をイーフェという白銀の少女にとっても、ジュードは同業という程度だろうと思った。

だが、彼女はそんなジュードと共に『時越えのダンジョン』に潜るという。
理由を尋ねる。

彼女もまた、ジュード同様、この先に進むには実力不足であると実感したらしい。
彼女の第二加護は『幸運特化』。
目に見えづらい加護であった。

戦力強化になったとはとても言えない。
だから、第一加護の影響を受ける素の戦闘能力を鍛えようと考えたのだという。

仲間は置いていくと決めたとか。
理由は、『幸運特化』の加護を利用するため。

どの時代に帰還できるかわからないのが、このダンジョンの恐ろしいところ。
だが、仲間との再会を望んで入れば、『幸運』に恵まれてこの時代に帰還できるかもしれない。
少なくとも、その可能性は上がる。

彼女はジュードに、仲間を連れていない分の戦力を望む。
ジュードは彼女の加護を利用し、リーゼと再会できる可能性を上げられる。


「わかった。行こう」

二人は準備を済ませ、知人たちには何も告げず、『時越えのダンジョン』へと飛び込んだ。