「うん、やっぱりいい。」
「本当ですか!?」
樋口先生と私は、直接よりもノートに書き込んで会話をすることの方が増えていた。それを会話と呼ぶかはわからないが。先生はそれなりに、私の小説を楽しんでくれているようだった。直接話すのが苦手な私に取っては今の状況がありがたくもあった。
今や、悪い印象は一ミリもなくて静葉と遊ぶ機会が減ったのは寂しいけれど快適な毎日を送っていた。でも、静葉は相変わらず担任が好みじゃないらしくしょっちゅう私に相談して泣きついてくる。大丈夫だろうか。
今日も、私は特に遊ぶ人も予定もないので一人読書に励もうと本を取り出す。これは、私が好きな出版社の新刊で新刊の発売日には必ず本屋に行って買うのが私の密かな楽しみだ。今日はどういうお話に会えるんだろう。
「ねぇ華ちゃん。」
誰かに呼ばれて振り向くと、そこには同じクラスの蘭々ちゃんがいた。
「何?」
「うちらと一緒に今からドッジ行かない?一緒に遊ぼうよー!」
え?どうして蘭々ちゃんが。普段話すようなこともないのに。新刊を口実に断ることもできたが折角なので誘いに乗ることにした。
「華ちゃん!今度私に勉強教えてね!私バカだから。」
「いやいや…バカじゃないよ、蘭々ちゃんは。」
「ほんとー?ありがと!」
蘭々ちゃんは微笑んだ。私なんかより友達も多いし、明るくて優しい子がどうして私を誘ってくれたんだろう。その疑問が頭から離れなかった。でも、その日のドッジは楽しかった。相変わらず、女子はボロ負けだけど。
その日から、蘭々ちゃんは毎日私に「おはよう」「一緒に遊ぼ!」「バイバイ!」と言ってくれるようになった。
それに合わせているわけじゃないけど、私も「蘭々ちゃん、また明日ね」というようになった。それから、私の生活にさらに花が咲いたように思う。本を学校で読む機会は減ったけど、その分学級の遊びに参加することが多くなってドッジでも少しづつ活躍できるようになってきた。でも、それは蘭々ちゃんを中心としてみんながボールを渡してくれるからこその活躍でみんなの中に入れたのが嬉しかった。そのドッジで、私は今日一回当たってしまった。残念と思いながら外野に行く。女子チームへのハンデとして女子チームには樋口先生が入っている。先生は毎年このようにドッジをやってきたからなのか知らないがめちゃくちゃ強かった。男子を負けじと対抗し、先生を当てたために外野にいる。外野は、私を含め五人くらい。早く内野に戻りたいところだ。
「華花さん。」
他の子がボールを投げている時に先生がこちらに近づいてきていった。
「はい?」
「後期のさ、委員長やってみない?」
「え…」
初めの頃の面談で私がリーダーをやらないと言ったけれどやってほしいと言ったところだろうか。このタイミングと内容で驚きのあまり残りの時間全然集中できず、先生が内野に戻っても私は戻れることなく休み時間が終わった。
そのあとの授業も全然集中できなかった。
私の学校は前期後期の二期制なので前期が終わってしまうともう卒業までもう少しだった。こんなにも早く時間が過ぎていたことに自分でも驚く。あれから委員長のことを考えたが明白な意思は固まらない。
「じゃあ今日はもう少しで前期が終わってしまうということで!後期のリーダー決めをします!」
「「はーい」」
小さい紙が配られ、希望のものを書いていく。委員長の欄があったが説明の際に、まだ迷っていたら迷っていると書いて貰えばいいと言っていたことを思い出し、とりあえず【迷ってます。】と書くことにした。それをみた先生は、少し笑って「やってほしいなぁ」と言った。そう言われたらもう、断ることなんてできなかった。最後だし、後悔したくないからやれることはやっておきたい。
蘭々ちゃんに、何かやるかと聞いたら班長に立候補すると言っていた。決める方法は選挙なので人気度が問われる。蘭々ちゃんなら確実になれると思う。でも、私はどうだろう。勉強も運動も平均よりはできる方だけどみんながどう思っているかはわからない。もう立候補すると決めてしまったけど本当に大丈夫だろうか。蘭々ちゃんや先生、静葉に相談したら間違いなく「大丈夫でしょ!」と言ってくれるだろう。でもいまいち自信が持てない。自分自身が一番自信を持たないといけないのに。
「本当ですか!?」
樋口先生と私は、直接よりもノートに書き込んで会話をすることの方が増えていた。それを会話と呼ぶかはわからないが。先生はそれなりに、私の小説を楽しんでくれているようだった。直接話すのが苦手な私に取っては今の状況がありがたくもあった。
今や、悪い印象は一ミリもなくて静葉と遊ぶ機会が減ったのは寂しいけれど快適な毎日を送っていた。でも、静葉は相変わらず担任が好みじゃないらしくしょっちゅう私に相談して泣きついてくる。大丈夫だろうか。
今日も、私は特に遊ぶ人も予定もないので一人読書に励もうと本を取り出す。これは、私が好きな出版社の新刊で新刊の発売日には必ず本屋に行って買うのが私の密かな楽しみだ。今日はどういうお話に会えるんだろう。
「ねぇ華ちゃん。」
誰かに呼ばれて振り向くと、そこには同じクラスの蘭々ちゃんがいた。
「何?」
「うちらと一緒に今からドッジ行かない?一緒に遊ぼうよー!」
え?どうして蘭々ちゃんが。普段話すようなこともないのに。新刊を口実に断ることもできたが折角なので誘いに乗ることにした。
「華ちゃん!今度私に勉強教えてね!私バカだから。」
「いやいや…バカじゃないよ、蘭々ちゃんは。」
「ほんとー?ありがと!」
蘭々ちゃんは微笑んだ。私なんかより友達も多いし、明るくて優しい子がどうして私を誘ってくれたんだろう。その疑問が頭から離れなかった。でも、その日のドッジは楽しかった。相変わらず、女子はボロ負けだけど。
その日から、蘭々ちゃんは毎日私に「おはよう」「一緒に遊ぼ!」「バイバイ!」と言ってくれるようになった。
それに合わせているわけじゃないけど、私も「蘭々ちゃん、また明日ね」というようになった。それから、私の生活にさらに花が咲いたように思う。本を学校で読む機会は減ったけど、その分学級の遊びに参加することが多くなってドッジでも少しづつ活躍できるようになってきた。でも、それは蘭々ちゃんを中心としてみんながボールを渡してくれるからこその活躍でみんなの中に入れたのが嬉しかった。そのドッジで、私は今日一回当たってしまった。残念と思いながら外野に行く。女子チームへのハンデとして女子チームには樋口先生が入っている。先生は毎年このようにドッジをやってきたからなのか知らないがめちゃくちゃ強かった。男子を負けじと対抗し、先生を当てたために外野にいる。外野は、私を含め五人くらい。早く内野に戻りたいところだ。
「華花さん。」
他の子がボールを投げている時に先生がこちらに近づいてきていった。
「はい?」
「後期のさ、委員長やってみない?」
「え…」
初めの頃の面談で私がリーダーをやらないと言ったけれどやってほしいと言ったところだろうか。このタイミングと内容で驚きのあまり残りの時間全然集中できず、先生が内野に戻っても私は戻れることなく休み時間が終わった。
そのあとの授業も全然集中できなかった。
私の学校は前期後期の二期制なので前期が終わってしまうともう卒業までもう少しだった。こんなにも早く時間が過ぎていたことに自分でも驚く。あれから委員長のことを考えたが明白な意思は固まらない。
「じゃあ今日はもう少しで前期が終わってしまうということで!後期のリーダー決めをします!」
「「はーい」」
小さい紙が配られ、希望のものを書いていく。委員長の欄があったが説明の際に、まだ迷っていたら迷っていると書いて貰えばいいと言っていたことを思い出し、とりあえず【迷ってます。】と書くことにした。それをみた先生は、少し笑って「やってほしいなぁ」と言った。そう言われたらもう、断ることなんてできなかった。最後だし、後悔したくないからやれることはやっておきたい。
蘭々ちゃんに、何かやるかと聞いたら班長に立候補すると言っていた。決める方法は選挙なので人気度が問われる。蘭々ちゃんなら確実になれると思う。でも、私はどうだろう。勉強も運動も平均よりはできる方だけどみんながどう思っているかはわからない。もう立候補すると決めてしまったけど本当に大丈夫だろうか。蘭々ちゃんや先生、静葉に相談したら間違いなく「大丈夫でしょ!」と言ってくれるだろう。でもいまいち自信が持てない。自分自身が一番自信を持たないといけないのに。