「ちがうの。ベティと、ワンちゃんも呼んでやりたいの、今日はバイトない日だから」
ベティとワンちゃんというのは、児童養護施設の後輩らしい。中学一年生と、小学六年生。韓の妹ぶんで、大の仲良しということだった。
学校から児童養護施設に帰ると、ランドセルを置いて、すぐに、宅配の仕事に出かけるが、今日は休みということだ。
ベティは、見かけは完全に白人で、赤ん坊の頃捨てられたので、自分の本名も国籍も知らない。ベティというあだ名だけが全て。当然日本語しか話せない。
ワンちゃんは、本名「王(ワン)ビョンビョン」。ビョンビョンじゃ嫌だと言うので「ワンちゃん」と呼ばれるようになったそうだ。中国人の母親が、王がまだ一年生の頃、施設に預け、それっきりらしい。
韓の話では、子犬みたいなので、「ワンちゃん」が、ぴったりだという。
聞いてもいないのに、韓は一方的にしゃべる。ポーラの話では二人とも美少女らしい。
「そっか~。でもこれ以上はさすがに乗れないから、あとからリニアか、新幹線で呼ぼうよ。そしたら一時間ちょっとで来れるからね~」
と、また優しく言うと、韓は安心したようにシートの隙間に腰を下ろした。
「今から呼べば、俺たちが東京に着く前に、ベティと、ワンちゃんが先に着いちゃうかもね。電車賃はあとからおじさんが清算してあげるからと伝えておいてね~。じゃあ連絡しておいてくれるかな~?」
狩田は内心、「しめしめ、あと二人、もうけた」と思った。
リニアモーターカーは東京から大阪まで開通していたが、新幹線がN1200系となり、時速四百キロを超え、時速五百キロで料金が割高なリニアモーターカーは、その存在の意味を無くす。新幹線は普通の電車賃くらいに値下がりしていた。
狩田は再びあくびをしながら腕組みすると、地上を走る新幹線を見下ろしながら、退屈そうに目を閉じた。
ドローンは、明かりが点いた名神高速道路上空を順調に東へと飛び、名古屋を過ぎたあたりでバッテリー充電スタンドに着陸した。全員、居眠りをしていたので、着陸したことさえ気がつかないほど静かなオートランディングだった。
ドローンのボディ下部にあるコンセントカバーが開くと、地面からニョキニョキと伸びた太い電源コードがコンセントに繋がれた。何もかも全てが自動化されている。
ベティとワンちゃんというのは、児童養護施設の後輩らしい。中学一年生と、小学六年生。韓の妹ぶんで、大の仲良しということだった。
学校から児童養護施設に帰ると、ランドセルを置いて、すぐに、宅配の仕事に出かけるが、今日は休みということだ。
ベティは、見かけは完全に白人で、赤ん坊の頃捨てられたので、自分の本名も国籍も知らない。ベティというあだ名だけが全て。当然日本語しか話せない。
ワンちゃんは、本名「王(ワン)ビョンビョン」。ビョンビョンじゃ嫌だと言うので「ワンちゃん」と呼ばれるようになったそうだ。中国人の母親が、王がまだ一年生の頃、施設に預け、それっきりらしい。
韓の話では、子犬みたいなので、「ワンちゃん」が、ぴったりだという。
聞いてもいないのに、韓は一方的にしゃべる。ポーラの話では二人とも美少女らしい。
「そっか~。でもこれ以上はさすがに乗れないから、あとからリニアか、新幹線で呼ぼうよ。そしたら一時間ちょっとで来れるからね~」
と、また優しく言うと、韓は安心したようにシートの隙間に腰を下ろした。
「今から呼べば、俺たちが東京に着く前に、ベティと、ワンちゃんが先に着いちゃうかもね。電車賃はあとからおじさんが清算してあげるからと伝えておいてね~。じゃあ連絡しておいてくれるかな~?」
狩田は内心、「しめしめ、あと二人、もうけた」と思った。
リニアモーターカーは東京から大阪まで開通していたが、新幹線がN1200系となり、時速四百キロを超え、時速五百キロで料金が割高なリニアモーターカーは、その存在の意味を無くす。新幹線は普通の電車賃くらいに値下がりしていた。
狩田は再びあくびをしながら腕組みすると、地上を走る新幹線を見下ろしながら、退屈そうに目を閉じた。
ドローンは、明かりが点いた名神高速道路上空を順調に東へと飛び、名古屋を過ぎたあたりでバッテリー充電スタンドに着陸した。全員、居眠りをしていたので、着陸したことさえ気がつかないほど静かなオートランディングだった。
ドローンのボディ下部にあるコンセントカバーが開くと、地面からニョキニョキと伸びた太い電源コードがコンセントに繋がれた。何もかも全てが自動化されている。