ある日、ドールキッズ社が警察のガサ入れを食った。
「お前たちは子供を夜遅くまでこき使って、金儲けしているだろう」と吊るし上げられた。
児童福祉法違反容疑ということ。
おそらく、ライバル関係にある事務所の奴らがタレ込んだのだ。
春本たちは、そんなことには慣れっこだから、万全の対策をしていた。夜八時になると、レッスンを終わるようにして、レッスンスタジオには、時計やテレビ番組を流しっぱなしにしていた証拠ビデオを監視カメラで撮影しておいた。
それを警察に見せると、お咎めなしだったが、マークが厳しいということだ。気をつけなくてはいけない。絶対にメンバーには無理はさせられない。時間以内にどうやって効率よく稼ぐかだ。
全員で、もっと売上を伸ばすにはどうすればいいのか? というテーマで会議をしている時、
「あ、そうだ! たこ焼き売ったらどうだろう?」と、レイワが言い出した。
「あっちでやってたように、ミニスカ履いて一人に一個、高い値段でたこ焼き売ればいいのよ!」
遠巻きに見ていた広部は指を鳴らした。
「ユー、それ、やっちゃいなよ!」
「さあ~、いきますよ~、たこちゅうにゅう。はい、あ~んして、もぐもぐ」
女の子はOKサインをつくり、お客が突き出すタコのようにすぼめた唇を『たこちゅうにゅう』と言いながら、指の輪っかで包みこみ、その時、少しだけお客の唇に触れる。
もう一方の手で、爪楊枝に刺したたこ焼きを女の子が『フーフー』と息を吹きかけてから、『は~い、あ~んして』と言って、お客の口に放り込む。
そして、『もぐもぐ』だ。
チャキタイムに追加で千円払えば、たこ焼きを一個、女の子から口に入れてもらえるという、このぼったくりサービスは大ヒットした。
特に、あんまり会話をするのが得意でない恥ずかしがり屋のヲタには受けに受けた。
「ふひゃあっ! あふい! ふひゃひゃひゃ! ありふぁとうほぇぇまひたぁ!」
と言いながら、一分の持ち時間を待たずに、消えていく。
効率が上がった。
メンバーそれぞれについた握手会の監視員は、たこちゅうにゅうタイムの間、ひっきりなしに、隣で、たこ焼きを焼く。
会場の入口に設置された金属探知機を、こっそりすり抜けた刃物を持った男などが紛れ込むドルテロなど、何かあったらすぐに、たこ焼きを転がすタコツノで応戦する。
「お前たちは子供を夜遅くまでこき使って、金儲けしているだろう」と吊るし上げられた。
児童福祉法違反容疑ということ。
おそらく、ライバル関係にある事務所の奴らがタレ込んだのだ。
春本たちは、そんなことには慣れっこだから、万全の対策をしていた。夜八時になると、レッスンを終わるようにして、レッスンスタジオには、時計やテレビ番組を流しっぱなしにしていた証拠ビデオを監視カメラで撮影しておいた。
それを警察に見せると、お咎めなしだったが、マークが厳しいということだ。気をつけなくてはいけない。絶対にメンバーには無理はさせられない。時間以内にどうやって効率よく稼ぐかだ。
全員で、もっと売上を伸ばすにはどうすればいいのか? というテーマで会議をしている時、
「あ、そうだ! たこ焼き売ったらどうだろう?」と、レイワが言い出した。
「あっちでやってたように、ミニスカ履いて一人に一個、高い値段でたこ焼き売ればいいのよ!」
遠巻きに見ていた広部は指を鳴らした。
「ユー、それ、やっちゃいなよ!」
「さあ~、いきますよ~、たこちゅうにゅう。はい、あ~んして、もぐもぐ」
女の子はOKサインをつくり、お客が突き出すタコのようにすぼめた唇を『たこちゅうにゅう』と言いながら、指の輪っかで包みこみ、その時、少しだけお客の唇に触れる。
もう一方の手で、爪楊枝に刺したたこ焼きを女の子が『フーフー』と息を吹きかけてから、『は~い、あ~んして』と言って、お客の口に放り込む。
そして、『もぐもぐ』だ。
チャキタイムに追加で千円払えば、たこ焼きを一個、女の子から口に入れてもらえるという、このぼったくりサービスは大ヒットした。
特に、あんまり会話をするのが得意でない恥ずかしがり屋のヲタには受けに受けた。
「ふひゃあっ! あふい! ふひゃひゃひゃ! ありふぁとうほぇぇまひたぁ!」
と言いながら、一分の持ち時間を待たずに、消えていく。
効率が上がった。
メンバーそれぞれについた握手会の監視員は、たこちゅうにゅうタイムの間、ひっきりなしに、隣で、たこ焼きを焼く。
会場の入口に設置された金属探知機を、こっそりすり抜けた刃物を持った男などが紛れ込むドルテロなど、何かあったらすぐに、たこ焼きを転がすタコツノで応戦する。
