ドローンレーサー

「狭い牢屋の中で争っても、仕方ないわ」というベティの提案で、ポーラの鞭を使って、牢屋の中から鍵を引き寄せることに成功し、三人で脱獄する。
 その時、レイワは十手をひろう。
 刑務所の扉を開け、シャバに出てみると、そこは、大きな金庫の中だった。
 驚いた顔の中国人の女スパイ、ワンちゃんが、しゃがんでお金を数えている。
 十手を拾ったことで正義に目覚めた原始人のレイワは「御用だ! 御用だ! 神妙にしろ!」と言いながら、ワンちゃんを金庫の隅まで追い詰め、コインを投げつける。
 札束を持ったままのワンちゃんが、慌てて手裏剣を投げて応戦するが、金庫の中を跳ね返り、ミニスカチャイナドレスを着た、自分の足に突き刺さる。
 牢屋から出してもらったことで、優しい心が芽生えたポーラは、自分の鞭を使って、ワンちゃんの足を縛り、血止めをしてやる。
 四人全員が、空腹も忘れ、金庫の中で友情が芽生え始めた時、金庫の扉が開くと、二丁拳銃を腰に、手にはマシンガンを持ったテンガロンハットのヘドロがいた。
「愛していると伝える相手がいるやつは、三つ数える間に出てこい」
 星条旗のビキニを着たヘドロは、ドスの効いた声で言う。
 あっけにとられて無言のままの四人。
「ワン、ツー、スリー、地獄へ行きな」
 言い終わるとヘドロはスコーピオン・モッドMをぶっ放し始める。
 弾がつきると、腰に巻きつけたガンベルトから、コルト・ピースメーカーを抜き、二丁拳銃で撃ちまくる。かんしゃく玉で応戦するワンちゃん。
 札束とコインが乱れ飛ぶ。
 レイワは石斧で暴れまわる。
 かんしゃく玉の煙の中から、ベティが光線銃で応戦する。
 ポーラは怒り狂ってムチを手当たり次第に振り回す。
 金庫の中が煙で充満し、静寂が訪れる。
 煙が消えると、全員が死んでいた。
 一瞬、間があり、金庫の奥、もうひとつの扉が「ギーッ」と音をたてて開くと、チマチョゴリを着た、韓国のお姫様、カンちゃんが椅子に座っている。おしまい。
 というストーリーだった。
 韓は真っ赤になって激怒した。
「私のセリフがないじゃないのよっ!」
 韓は広部に詰め寄る。
「もう嫌っ! たこ焼き焼いているほうがましはすみだっ!」
 韓のつばきが広部の顔にかかるくらいの距離。鼻と鼻がぶつかりそうだ。