店の前にある木の長椅子に腰かけて、たこ焼きを頬張りながら待っていると、狩田の前に、狩田が現れた。若い時の狩田にそっくりだ。
「タコヤキ、クラップカ。ワンパック」
若い狩田はひとさし指を立てた。
小柄な若い狩田はジーパンにピンク色のTシャツ。
お姉さんにぺこぺこおべっかを使うところが、そこはかとない小物感を漂わせている。
年とった方の狩田は、「自分にそっくりだ! 間違いない」と思った。
お姉さんからたこ焼き一パックを受け取ると、若い狩田は歳をとった狩田の隣に座った。
「君、狩田君? 俺、狩田です」
自己紹介すると、若い狩田は驚いた。
狩田の性格からして、あまり人を疑うことはない、と思ったから、狩田は、今までのことを洗いざらい打ち明けた。しかし、いくら調子がよくて軽い性格の若い狩田でも、すぐには信じてくれなかった。
「じゃあ、パスポートを見せてくれませんか?」
と若い狩田は言った。
年とった方の狩田のパスポートは、未来型ICカードパスポートだったから、今回日本を出国する際、上野でイラン人が闇で作ってくれた、偽造パスポートを持っていた。
それを見せると、生年月日も氏名も同じだったから、信じるかと思ったが、ますます怪しんだ。
偽造を見抜いたわけではないが、パスポートナンバーも違うし、過去の出入国記録を見ても、若い狩田が興味のなさそうな国に行ったことになっていた。
イラン人の偽造パスポート屋が、自然に見せかけるため、適当に選んだ国のビザや、出入国スタンプを勝手に書き込んでいたのだから無理もない。
まるっきり白紙のパスポートは不自然だからだ。
狩田は軽いが、バカではない。
「で、おじさんはこの俺に何が言いたいんですか?」
「え? 何が言いたいって、色々とアドバイスしたいと思っているんだよ」
「アドバイスしてくれたら、おじさんがどうかなるんですか? 大金持ちになるとか? 好きな女の子と付き合えるとか?」
若い狩田は続けた。
「俺は高校生の時、エリちゃんという同級生を好きになったけどコクれずに卒業した。でも、後から両思いだったってことを知った。だからエリちゃんにあの時、コクっていたら、俺はエリちゃんと結婚できたかもしれない。それをやり直せるってことですか?」
「タコヤキ、クラップカ。ワンパック」
若い狩田はひとさし指を立てた。
小柄な若い狩田はジーパンにピンク色のTシャツ。
お姉さんにぺこぺこおべっかを使うところが、そこはかとない小物感を漂わせている。
年とった方の狩田は、「自分にそっくりだ! 間違いない」と思った。
お姉さんからたこ焼き一パックを受け取ると、若い狩田は歳をとった狩田の隣に座った。
「君、狩田君? 俺、狩田です」
自己紹介すると、若い狩田は驚いた。
狩田の性格からして、あまり人を疑うことはない、と思ったから、狩田は、今までのことを洗いざらい打ち明けた。しかし、いくら調子がよくて軽い性格の若い狩田でも、すぐには信じてくれなかった。
「じゃあ、パスポートを見せてくれませんか?」
と若い狩田は言った。
年とった方の狩田のパスポートは、未来型ICカードパスポートだったから、今回日本を出国する際、上野でイラン人が闇で作ってくれた、偽造パスポートを持っていた。
それを見せると、生年月日も氏名も同じだったから、信じるかと思ったが、ますます怪しんだ。
偽造を見抜いたわけではないが、パスポートナンバーも違うし、過去の出入国記録を見ても、若い狩田が興味のなさそうな国に行ったことになっていた。
イラン人の偽造パスポート屋が、自然に見せかけるため、適当に選んだ国のビザや、出入国スタンプを勝手に書き込んでいたのだから無理もない。
まるっきり白紙のパスポートは不自然だからだ。
狩田は軽いが、バカではない。
「で、おじさんはこの俺に何が言いたいんですか?」
「え? 何が言いたいって、色々とアドバイスしたいと思っているんだよ」
「アドバイスしてくれたら、おじさんがどうかなるんですか? 大金持ちになるとか? 好きな女の子と付き合えるとか?」
若い狩田は続けた。
「俺は高校生の時、エリちゃんという同級生を好きになったけどコクれずに卒業した。でも、後から両思いだったってことを知った。だからエリちゃんにあの時、コクっていたら、俺はエリちゃんと結婚できたかもしれない。それをやり直せるってことですか?」
