親と死別したり、離婚など、色々な理由で、児童養護施設から学校に通う彼女たちにとってポーラは、先生であり親代わりの保護者。そんな情報をいち早く掴んだ狩田は早速ドローンに乗って飛んで来たのだ。ポーラを口説けばまとめて三人スカウトできる。
 この世界、早いもの勝ちだということを、狩田は一番よく知っていた。
 マヌケを装っているが、ポーラに貸しがあることと、頼みごとをすると、ポーラが断れない男っぽい性格だということを熟知している。抜け目がない。
 交渉の結果、ポーラはあっさり狩田の誘いに乗った。
 ポーラは狩田を信用していたし、久しぶりに東京にも行きたくなったのだ。
「そのかわり、この子たちだけじゃだめ、私も一緒に連れってって、そしたらいいよ」
「おおっ! いいねいいね、ポラちゃんも、もういっぺんどうよ! 最近、ロリヲタだけじゃなく、熟女マニアもそれなりに増えてるからね~。クックックッ」
 こうなると、ポーラの切り替えと、行動力は素早い。
 近くにいた中国人の男に、屋台をその場で売り飛ばしてしまった。
 レイワ、ヘドロ、韓は、三人とも呆気に取られている。
「だいじょうぶ大丈夫。みんな、ちょっと夏休みの旅行だと思って行ってみよ。私がついてるから大丈夫。向こう二ヶ月以上も、たこ焼き焼くより、もうかるかもしれないし、いこいこ!」
 屋台を取り囲んでいた客たちも呆気にとられ、口を開けたまま見ている。屋台を買い取った忍者姿の小柄な中国人が、焦げて煙を出すたこ焼きを慌てて転がし始める。
 狩田が真っ赤なドローンに乗り込み、前席に座った。
 前に一席、後部に二席並んだ三人乗り。
 不安そうにするレイワ、ヘドロ、韓を、ポーラがお尻を押して三人を後部に詰め込む。
 最後にポーラが乗り込むと、狭いフロアに体育座りをした。
 韓は、ヘドロの膝の上だ。全員シートベルトをしない。
「テイインオーバーデス、テイインオーバーデス、フタリオリテクダサイ」
 と、電子音声が響く。
「重さ的には大丈夫だろ? ペガサス。目的地は渋谷だ、行け!」
 狩田はそう言いながら、目の前のタッチパネルを操作した。
 素早く電卓を叩くように狩田が操作すると、タッチパネルの画面が真っ赤に変わる。
「AT YOUR OWN RISK」というサインが点滅している。「自己責任で」という意味だ。