二機はぴったりと間隔を詰め、ハチドリが前に出るのをブロックしている。ハチドリのすぐ後を俺が追いかける。四機が全て数メートル以内。
ハチドリはスリップストリームを使って、何度か前に出ようとするが、ポルテの二機は、まるで意思の疎通でもしているかのように正確なブロックポジションをとる。
無線交信はルール違反だから、通信はしていないはず。なのにこんなに息がぴったりあったシンクロ飛行ができるのは双子姉妹だからだろう。
オーバルコース最後の五周目を終えると、四機同時に弾けたようにホームストレートへ向かう。次の瞬間、前に出ようとしたハチドリの行く手をはばむポルテの二機が、上下小刻みに揺さぶりをかけた。ハチドリは乱気流に飲み込まれ、バランスを崩す。
「うわっ!」
すんでのところでハチドリを俺はかわす。数センチのところだった。
ハチドリが俺の後ろになった。
最後のホームストレート!
右ペダルを思いっきり踏み込み、ティルトを垂直にし、左ペダルを床まで踏み込んでフルスロットル! スロットルレバーを折れんばかりに前に倒す。
モーター温度がイエローゾーンからぐんぐんレッドゾーンに近づく。
メインスタンド前のスターティングカーテンが、チェッカーフラッグに変わって、ゆらゆらとはためいている。
「あと十秒! もってくれ! たのむっ!」
ポルテがぴったり並んでいるが、俺の機体は可変翼を折りたたんでいるのでその間をすり抜けられると思った。しかし、ポルテの二機が間を詰める。そのまま行けば通過できるだろうが、ポルテのプロペラはむき出しタイプだ。この猛スピードで俺の機体に触れると、ポルテはぶっ飛ぶだろう。
一瞬あの双子姉妹の顔が思い浮かび、スロットルを僅かにゆるめた。ポルテの二機が上下動する。
乱気流作戦だ! と同時にレッドゾーンに飛び込みオーバーヒートアラートが鳴る。
「しまったぁ! あぁ……」
プロペラ回転が落ち、俺の機体は急降下していく。
降下することにより、落下加速度が出たが、俺の頭上、約三十メートルでチェッカーフラッグを一瞬先に通過したのは、ポルテの二機だった。
俺の負けだ。
ハチドリはスリップストリームを使って、何度か前に出ようとするが、ポルテの二機は、まるで意思の疎通でもしているかのように正確なブロックポジションをとる。
無線交信はルール違反だから、通信はしていないはず。なのにこんなに息がぴったりあったシンクロ飛行ができるのは双子姉妹だからだろう。
オーバルコース最後の五周目を終えると、四機同時に弾けたようにホームストレートへ向かう。次の瞬間、前に出ようとしたハチドリの行く手をはばむポルテの二機が、上下小刻みに揺さぶりをかけた。ハチドリは乱気流に飲み込まれ、バランスを崩す。
「うわっ!」
すんでのところでハチドリを俺はかわす。数センチのところだった。
ハチドリが俺の後ろになった。
最後のホームストレート!
右ペダルを思いっきり踏み込み、ティルトを垂直にし、左ペダルを床まで踏み込んでフルスロットル! スロットルレバーを折れんばかりに前に倒す。
モーター温度がイエローゾーンからぐんぐんレッドゾーンに近づく。
メインスタンド前のスターティングカーテンが、チェッカーフラッグに変わって、ゆらゆらとはためいている。
「あと十秒! もってくれ! たのむっ!」
ポルテがぴったり並んでいるが、俺の機体は可変翼を折りたたんでいるのでその間をすり抜けられると思った。しかし、ポルテの二機が間を詰める。そのまま行けば通過できるだろうが、ポルテのプロペラはむき出しタイプだ。この猛スピードで俺の機体に触れると、ポルテはぶっ飛ぶだろう。
一瞬あの双子姉妹の顔が思い浮かび、スロットルを僅かにゆるめた。ポルテの二機が上下動する。
乱気流作戦だ! と同時にレッドゾーンに飛び込みオーバーヒートアラートが鳴る。
「しまったぁ! あぁ……」
プロペラ回転が落ち、俺の機体は急降下していく。
降下することにより、落下加速度が出たが、俺の頭上、約三十メートルでチェッカーフラッグを一瞬先に通過したのは、ポルテの二機だった。
俺の負けだ。
