前方宙返りをするときには極端にスピードを落とし、なかでも難しいのがフリップターンだ。
水泳のクロールで、前方に体を回転させながらひねりを入れて、キックターンをする。そうすると正常な態勢で泳げる。それと同じ動作をドローンでやらなくてはいけない。
何機ものドローンが周回を繰り返すうち、空気の流れが出来るから、それに巻き込まれるとコントロールを失う。
スズキンとスバルンバの二機がフリップターンをした瞬間、接触した。二機とも木の葉のように地面に落ちていく。おそらくトップを飛び続けていたスズキンだろう。
機体に「SUZUKIN Mosquito AKIKO」と描いてあるのが、ちらっと見えた。
ホンダマのハチドリは、地元の優位性があるのか、難なく高スピードでフリップターンを決め、順調に周回を重ねる。ここを練習場としているのだから得意なわけだ。
俺もマイクロドローンのフリップターンなら得意だった。しかし、実機とは訳が違って、なかなかうまくいかない。せっかく上がっていた順位が次第に落ちてきた。
ターンする度、次々に追い越されていく。
しかし、いいことを思いついた。フリップターンをせず、すべて正回転で飛行を続ける。
つまり、上側の一方向すべてを、逆さまになったままの体制でターンに飛び込む。
逆さまの状態が数秒間続き、頭に血が上ってくる。しかしこの飛行方法が当たった。
さっき追い抜いていったドローンにあっという間に並ぶ。キャノピー越しに、逆さまになった相手のパイロットと一瞬目があったが、驚いて目をむいていた。
この飛行方法ならフリップターンでの時間ロスが無く、ぐんぐん加速できる。周回遅れにしたトヨタヨタのデカゴンが慌てて俺の飛行経路を塞ごうとしたが、逆さまになった体勢のまま、軽くかわす。バックモニターに映った逆さまの顔が歯ぎしりしていた。
他のドローンは、逆さまにしたら、そのまま墜落してしまう。ヘリコプターが、逆さ飛行出来ないのと同じだ。これは俺の乗ったドローンが、プロペラをティルトさせて、飛行機のようにすることが出来るからこその芸当だ。
俺は五周の周回を終え、最後のホームストレートに入る。ティルトは垂直のまま。可変翼はめいっぱい後方に下げ、フルスロットル。
十八万の大観衆で埋まるメインスタンドを最高速で通過する。
五位!
水泳のクロールで、前方に体を回転させながらひねりを入れて、キックターンをする。そうすると正常な態勢で泳げる。それと同じ動作をドローンでやらなくてはいけない。
何機ものドローンが周回を繰り返すうち、空気の流れが出来るから、それに巻き込まれるとコントロールを失う。
スズキンとスバルンバの二機がフリップターンをした瞬間、接触した。二機とも木の葉のように地面に落ちていく。おそらくトップを飛び続けていたスズキンだろう。
機体に「SUZUKIN Mosquito AKIKO」と描いてあるのが、ちらっと見えた。
ホンダマのハチドリは、地元の優位性があるのか、難なく高スピードでフリップターンを決め、順調に周回を重ねる。ここを練習場としているのだから得意なわけだ。
俺もマイクロドローンのフリップターンなら得意だった。しかし、実機とは訳が違って、なかなかうまくいかない。せっかく上がっていた順位が次第に落ちてきた。
ターンする度、次々に追い越されていく。
しかし、いいことを思いついた。フリップターンをせず、すべて正回転で飛行を続ける。
つまり、上側の一方向すべてを、逆さまになったままの体制でターンに飛び込む。
逆さまの状態が数秒間続き、頭に血が上ってくる。しかしこの飛行方法が当たった。
さっき追い抜いていったドローンにあっという間に並ぶ。キャノピー越しに、逆さまになった相手のパイロットと一瞬目があったが、驚いて目をむいていた。
この飛行方法ならフリップターンでの時間ロスが無く、ぐんぐん加速できる。周回遅れにしたトヨタヨタのデカゴンが慌てて俺の飛行経路を塞ごうとしたが、逆さまになった体勢のまま、軽くかわす。バックモニターに映った逆さまの顔が歯ぎしりしていた。
他のドローンは、逆さまにしたら、そのまま墜落してしまう。ヘリコプターが、逆さ飛行出来ないのと同じだ。これは俺の乗ったドローンが、プロペラをティルトさせて、飛行機のようにすることが出来るからこその芸当だ。
俺は五周の周回を終え、最後のホームストレートに入る。ティルトは垂直のまま。可変翼はめいっぱい後方に下げ、フルスロットル。
十八万の大観衆で埋まるメインスタンドを最高速で通過する。
五位!
