天に向かって垂直に伸びる、はしごみたいに張られたロープを真上に向かってかいくぐってゆく。ここでも旋回性能の優れる機体は順位を上げる。さっき、木の葉のようになって順位を下げたスズキンも、舞い戻ってきた。
機体重量の重いドローンはフルパワーだ。モーターの回転音が、離陸時のジェット機のような唸りを上げる。だだっ広い会場全体がその爆音で包まれ、大歓声が轟く。
上空三百メートル、一番上まで行くと折り返し、次はほぼ真下に作られた人工池に急降下。ひょうたん型の人工池にかけられたアーチをくぐるのだ。ブレーキングし損なったら池ぽちゃだ。ドローンは電子機器で水に弱い。池ぽちゃはリタイアを意味する。
垂直落下はドローンが一番苦手な飛行。ほとんどが自由落下に任せるが、一旦、少し離れ、角度をつけてアーチをくぐろうとする者もいる。
それだとかなりタイムをロスするが、安全で確実だからだ。
俺はここで勝負に打って出た。
機体を真下に向けて加速する。ドローンを上下ひっくり返したのだ。
あっという間にひょうたん池が目の前、というか頭の上。キャノピーは頭上も見えるようになっている。水面ギリギリでフットペダルを両方同時に床まで踏み込んだ。頭上のキャノピーが水面に触れる寸前、「ブワッ!」という音とともに水しぶきが上がった。
可変翼プロペラを一杯に広げ、ティルトを百八十度急反転させたのだ。そう、あの亀爺さん自慢のブレーキング機構だ。すぐに水平姿勢にするとプロペラのティルトを通常モードに切り替えアーチをくぐる。
水しぶきを浴びて視界を失った後続機は止まりきれず、池に突っ込んでしまった者もいる。
池に浮かんだドローンは漏電し、「バチバチバチッ、バチッ」と、スパークしていた。
俺は八位まで順位を上げた。
次はオーバルコース。平面ではなく、一回転するジェットコースターのようなドローン独特のコース。二百メートルの距離をおいて、向こう側とこっち側に、一本ずつ横バーが渡してあり、そこを五周回する、前回転コースだ。
コースが狭い上に、後続の機体もどんどん飛び込んでくるので、一体だれが先頭なのか、順位がわからず、大混戦になる。
普通の回転コースは、飛行機で、宙返りを繰り返すのと同じ。
ここは、前方宙返りをしなくてはいけない超弩級に難易度の高いコース。
機体重量の重いドローンはフルパワーだ。モーターの回転音が、離陸時のジェット機のような唸りを上げる。だだっ広い会場全体がその爆音で包まれ、大歓声が轟く。
上空三百メートル、一番上まで行くと折り返し、次はほぼ真下に作られた人工池に急降下。ひょうたん型の人工池にかけられたアーチをくぐるのだ。ブレーキングし損なったら池ぽちゃだ。ドローンは電子機器で水に弱い。池ぽちゃはリタイアを意味する。
垂直落下はドローンが一番苦手な飛行。ほとんどが自由落下に任せるが、一旦、少し離れ、角度をつけてアーチをくぐろうとする者もいる。
それだとかなりタイムをロスするが、安全で確実だからだ。
俺はここで勝負に打って出た。
機体を真下に向けて加速する。ドローンを上下ひっくり返したのだ。
あっという間にひょうたん池が目の前、というか頭の上。キャノピーは頭上も見えるようになっている。水面ギリギリでフットペダルを両方同時に床まで踏み込んだ。頭上のキャノピーが水面に触れる寸前、「ブワッ!」という音とともに水しぶきが上がった。
可変翼プロペラを一杯に広げ、ティルトを百八十度急反転させたのだ。そう、あの亀爺さん自慢のブレーキング機構だ。すぐに水平姿勢にするとプロペラのティルトを通常モードに切り替えアーチをくぐる。
水しぶきを浴びて視界を失った後続機は止まりきれず、池に突っ込んでしまった者もいる。
池に浮かんだドローンは漏電し、「バチバチバチッ、バチッ」と、スパークしていた。
俺は八位まで順位を上げた。
次はオーバルコース。平面ではなく、一回転するジェットコースターのようなドローン独特のコース。二百メートルの距離をおいて、向こう側とこっち側に、一本ずつ横バーが渡してあり、そこを五周回する、前回転コースだ。
コースが狭い上に、後続の機体もどんどん飛び込んでくるので、一体だれが先頭なのか、順位がわからず、大混戦になる。
普通の回転コースは、飛行機で、宙返りを繰り返すのと同じ。
ここは、前方宙返りをしなくてはいけない超弩級に難易度の高いコース。
