「新入りでも、あなたちより、あっちの世界では私たちの方が先輩だもん。あっちではあなたたちは、もうおばさんなんだからね」と、王が訳のわからないことを言ったから、マスクガールズのメンバー全員に取り囲まれた。
「あなたたちは私より先輩かもしれないけど、私の方が年上なのよ」と更に混乱させた。「どう見ても小学生のあんたが、なんで高校生のあたしたちより年上なわけ? あんた少しおかしんじゃないの?」
「だってあなたたちより、私はずっと後で生まれたわ」
「じゃあ、あたしたちより年下じゃない」
「そうじゃなくて、あなたちの方が遅れてるの。古いの」
「なにぃ~、古いだってぇ?」
「そんでもって、マスクガールズのメンバー全員がキレたってわけ。なだめんの大変だったんだから」と、レイワが全ての説明を、外出から帰ってきたポーラにした。
「あんたらさぁ、ちょっと目離すとこれだからねぇ、アホくさ。ほら、練習練習。もう時間がないんだからね。こっちが人気者になって、マスクのやつら、見返してっ!」
ポーラがビシッと締めた。
単なるダンスの基礎レッスンの時はそうでもなかったが、コレオグラファーと呼ばれる振付師のレッスンは過酷を極めた。デビュー曲に合わせた激しい動きをしながら、ちゃんと発声をしなければいけない。全力疾走しながらも、軽やかに歌うという感じだ。
体育会系の彼女たちも、毎回悲鳴をあげた。泣き言を言えるスバルはいないし、ポーラもその厳しさに油を注いだ。
担当社員の広部は、ピーチバレーズをポーラに任せっきりで、他のアイドルグループの世話にきりきり舞いしていた。
狩田は再び東南アジアに、スカウトに行くと言って出かけたらしい。ポーラはピンと来た。おそらく狩田は本当の自分探しの旅に出たのだ。
しかし、約三十年前の自分と出会ったらどうするのだろう? ふと、自分の事を考えてみる。ポーラ自身は、今、二十七歳だから、こっちの世界で見つけたとしてもまだ、生まれていないか、生後間もない赤ん坊だ。
そんなの意味はないし、だいたい父親も母親も誰かわからないから探しようがない。
今は、ポーラもメンバーたちも、日々生き抜いていく事だけでいっぱいいっぱいだった。
ある日、広部が山のような衣装を抱えてレッスンスタジオに入ってきた。
デビューの衣装が決まったというのだ。
「なんじゃこりゃー!」
「だっせ~」
「あなたたちは私より先輩かもしれないけど、私の方が年上なのよ」と更に混乱させた。「どう見ても小学生のあんたが、なんで高校生のあたしたちより年上なわけ? あんた少しおかしんじゃないの?」
「だってあなたたちより、私はずっと後で生まれたわ」
「じゃあ、あたしたちより年下じゃない」
「そうじゃなくて、あなたちの方が遅れてるの。古いの」
「なにぃ~、古いだってぇ?」
「そんでもって、マスクガールズのメンバー全員がキレたってわけ。なだめんの大変だったんだから」と、レイワが全ての説明を、外出から帰ってきたポーラにした。
「あんたらさぁ、ちょっと目離すとこれだからねぇ、アホくさ。ほら、練習練習。もう時間がないんだからね。こっちが人気者になって、マスクのやつら、見返してっ!」
ポーラがビシッと締めた。
単なるダンスの基礎レッスンの時はそうでもなかったが、コレオグラファーと呼ばれる振付師のレッスンは過酷を極めた。デビュー曲に合わせた激しい動きをしながら、ちゃんと発声をしなければいけない。全力疾走しながらも、軽やかに歌うという感じだ。
体育会系の彼女たちも、毎回悲鳴をあげた。泣き言を言えるスバルはいないし、ポーラもその厳しさに油を注いだ。
担当社員の広部は、ピーチバレーズをポーラに任せっきりで、他のアイドルグループの世話にきりきり舞いしていた。
狩田は再び東南アジアに、スカウトに行くと言って出かけたらしい。ポーラはピンと来た。おそらく狩田は本当の自分探しの旅に出たのだ。
しかし、約三十年前の自分と出会ったらどうするのだろう? ふと、自分の事を考えてみる。ポーラ自身は、今、二十七歳だから、こっちの世界で見つけたとしてもまだ、生まれていないか、生後間もない赤ん坊だ。
そんなの意味はないし、だいたい父親も母親も誰かわからないから探しようがない。
今は、ポーラもメンバーたちも、日々生き抜いていく事だけでいっぱいいっぱいだった。
ある日、広部が山のような衣装を抱えてレッスンスタジオに入ってきた。
デビューの衣装が決まったというのだ。
「なんじゃこりゃー!」
「だっせ~」