転がり込めるヲタ友のヲテルもない。野宿で生きていけるわけない。結局、家に戻るしかなかった。そんなこと、親父は全部、見通していたのだ。
 家出をして帰っても、何事もなかったかのように振舞っていた。妹もそうだ。
 今回だって心配なんてしないに決まっている。
 そもそも、彼女たちの手前、帰るわけにはいかない。必要とされているんだ。親もいないのに、たくましく生きている。少し見習わなくてはいけない。
 そう思うと、昨日までの自分が嘘のようになった。必要とされるっって、こんな気持ちになるんだ……。家以外に居場所があるって……。
「ちょっとコンビニで水買ってきてぇ」
「おなかすいたぁ」
「ちょっと、背中のボタン、とめてくんない?」
「ねえねえ、ちょっと靴ひも結んでくんない?」
「ねえ、パンツ脱ぐの手伝ってよ」
「えっ? パパパ、パンツ?」
 結局、五人の美少女たちのパシリ。なんとなくリア充。でもポーラは人使いが荒い。
「ちょっと肩凝ったぁ、もんで」
「ハイハイハイハイ」
「ちょっと、オッパイももんで~」
「えっ?」
「嫌なの?」
「いや、そんなことないっす、ハイハイハイハイ」
 御用聞きのように両手を擦りながら近ずくと、
 バッシーン! 
 ポーラの強烈な頬ビンタ。
「冗談に決まってるでしょっ、このアホたん!」
 なんなんだろう、この感覚?! 頬ビンタをされても、ちゃんといじられるこの快感。
 僕は学校でも塾でも、リアルの世界ではいつも馬鹿にされ、シカトされていた。
 ポーラは僕のことをこき使っても馬鹿になんてしなかった。僕が、彼女たちがこっちに来るきっかけを作ったのだし、向こうに戻れるのは僕がいてこそなんだ。
 僕は、毎日、ハードなトレーニングを続ける彼女たちの身の回りの世話をした。炊事洗濯はもちろん、夜になると、巨乳のせいで肩こり気味のポーラのマッサージをさせられた。
 ポーラの内面は男みたいだった。乳首が透けて見える、ぴったりしたタンクトップを着て、おおきなオッパイをゆさゆさゆらしながら平気でそこらへんを歩き回る。僕と目があうと、何事も起こらなかったが、視線がオッパイに行くと、容赦なく頬ビンタをした。
 僕は目のやり場に困ったが、そのうちそんなことにも慣れてきて、タンクトップとホットパンツ姿の、ポーラの全身マッサージを毎晩する。