「えっ! まじで? それ本物の未来だよ!」僕は叫んだ。
渋谷駅東口の、渋谷スクランブルスクエアビルは去年出来たばかりだが、西口のJR駅ビルは、これから数年後に建つ予定だ。今は無い!
RAV4は首都高、渋谷出口を降り、左折して表参道に入った。
「とりあえず原宿駅、いや、そこから少し離れた、明治神宮の大鳥居の所に来いって、連絡して!」
僕は、咄嗟に思いついてそう言うと、RAV4のスピードを上げた。
深夜の十二時だが、建て替えられたばかりの原宿駅前は、若者たちで賑わっている。
車を路上のパーキングに停めると、全員で明治神宮に走った。僕はランディングパッドとロープを持っている。大鳥居は原宿駅表参道口から、南参道を通り抜けた奥にある。
大鳥居が見えてきたが誰もいない。
[ベティ、ワンちゃん、今どこ?]
[ちょーでかいトリイのところに着いたなう、みんな今どこ?]
「やばいっ! やっぱりいない!」
ポーラもレイワも韓もヘドロも、みんな焦っておろおろしはじめた。
「これをぶらさげてみようっ!」
僕はランディングパッドを広げて、ロープの先に、重しの石を括り付け、鳥居に向かってグルグル回して勢いをつけ、思いっきり投げ上げた。
ロープは上手く鳥居の横柱にかかった。ぶら下げたランディングパッドを覗いたが、ベティと、王の姿は見えなかった。横からポーラと狩田が僕を押しのけるように覗くが同じこと。
「鳥居はあっちの世界とこっちの世界の境界線、と聞いたことあるけど、やっぱりダメか……」
僕は、がっくり肩を落として座り込んだ。
[ベティ、ワンちゃん、今、何が見える?]
レイワが、ラインで尋ねる。
[大きな赤い鉄のトリイが目の前なう]
「やっぱりだ。この明治神宮の鳥居は今、木で出来ているけど、何年か後に鉄の鳥居に建てかえられたんだ。あの子たちは今、間違いなく此処にいるけど、それは未来なんだ……」
高さ十二メートルもある明治神宮の鳥居は、檜で出来ていて、赤には塗られていない。
「どうしよう」
「どうする?」
「やっぱりあの樹海?」
「い、い、いい、いいい、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 死んでも嫌!」
「私も嫌っ! 第一、私たちは行けても、誰がベティとワンちゃんをあんな所まで連れて行くってわけ? むりよ、むりむりむりむり、むり!」
「ああっ、どうしよう」
渋谷駅東口の、渋谷スクランブルスクエアビルは去年出来たばかりだが、西口のJR駅ビルは、これから数年後に建つ予定だ。今は無い!
RAV4は首都高、渋谷出口を降り、左折して表参道に入った。
「とりあえず原宿駅、いや、そこから少し離れた、明治神宮の大鳥居の所に来いって、連絡して!」
僕は、咄嗟に思いついてそう言うと、RAV4のスピードを上げた。
深夜の十二時だが、建て替えられたばかりの原宿駅前は、若者たちで賑わっている。
車を路上のパーキングに停めると、全員で明治神宮に走った。僕はランディングパッドとロープを持っている。大鳥居は原宿駅表参道口から、南参道を通り抜けた奥にある。
大鳥居が見えてきたが誰もいない。
[ベティ、ワンちゃん、今どこ?]
[ちょーでかいトリイのところに着いたなう、みんな今どこ?]
「やばいっ! やっぱりいない!」
ポーラもレイワも韓もヘドロも、みんな焦っておろおろしはじめた。
「これをぶらさげてみようっ!」
僕はランディングパッドを広げて、ロープの先に、重しの石を括り付け、鳥居に向かってグルグル回して勢いをつけ、思いっきり投げ上げた。
ロープは上手く鳥居の横柱にかかった。ぶら下げたランディングパッドを覗いたが、ベティと、王の姿は見えなかった。横からポーラと狩田が僕を押しのけるように覗くが同じこと。
「鳥居はあっちの世界とこっちの世界の境界線、と聞いたことあるけど、やっぱりダメか……」
僕は、がっくり肩を落として座り込んだ。
[ベティ、ワンちゃん、今、何が見える?]
レイワが、ラインで尋ねる。
[大きな赤い鉄のトリイが目の前なう]
「やっぱりだ。この明治神宮の鳥居は今、木で出来ているけど、何年か後に鉄の鳥居に建てかえられたんだ。あの子たちは今、間違いなく此処にいるけど、それは未来なんだ……」
高さ十二メートルもある明治神宮の鳥居は、檜で出来ていて、赤には塗られていない。
「どうしよう」
「どうする?」
「やっぱりあの樹海?」
「い、い、いい、いいい、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 死んでも嫌!」
「私も嫌っ! 第一、私たちは行けても、誰がベティとワンちゃんをあんな所まで連れて行くってわけ? むりよ、むりむりむりむり、むり!」
「ああっ、どうしよう」