ハート形をしたロケットペンダントが、オッパイの谷間で「キラッ」っと光った。
 あまりの出来事に、昴はドローンのコントローラーレバーを倒したまま硬直した。画面にはまだオッパイがいっぱいに映って近づいてくる。生まれて初めて見る本物のオッパイ。本物と言っても、モニターだからエロビデオと同じだ。だけどこれは現実だ。
「ん? 現実?」
 ポヨヨーン、ポヨヨーン、と何度かオッパイではねかえったドローンは、
「ギャッ! なにこれっ!」という声とともに叩き落とされた。
 咄嗟にゴーグルを外して裸眼で見るが、木からぶら下げたランディングパッドを切り裂いたループがあるだけだった。ループの辺りには何もない。
「キャー、なによこれっ!」
「ひーっ!」
「なになになになになに!」
「ギャー」
「もう偵察用ドローンがきたのかっ!」
 闇の樹海から声が聞こえる。
 でも何も見えない。
 昴は慌ててゴーグルを付け直す。
 画面には、スーパーローアングルから捉えた、ミニスカートの中のパンツが丸見えだった。それも三人分。サーチライトに照らし出された色とりどりのパンツは、三人がひしと抱き合って怯えているようだった。
 もう一度ゴーグルを外してみるが、目の前にあるはずのものが、何も見えない。
 だが、ループの中から話し声だけ聞こえる。首を突っ込んで首を吊る予定だったランディングパッドのループ。確かにその中から話し声が聞こえるのだ。
 昴は、地面に転がっていた木の幹を踏み台にし、思いっきり背を伸ばして覗いて見た。
「ぎゃっ!」
 鼻と鼻がぶつかった。
 僕は腰を抜かした瞬間、あごにループが引っかかり、もんどり打って倒れた。
 ループいっぱいに、割れたサングラスをした鬼気迫った顔のおっさんがいたのだ。
「ななな、なんなんだ?」
 僕は腰を抜かしたまま動けない。身体中が親父に対する恐怖で震える。止まらない。
 少し間があって、次にループから顔をのぞかせたのは綺麗なお姉さんだった。
 お姉さんはキョロキョロと辺りをうかがうと、
「大丈夫そうよ、おにいちゃんがひとりいるだけ」と、言い終わると、ループをくぐってこっちに来ようともがいた。
 しかし、胸がつっかえるのか、頭と二の腕まで出てきたところで止まった。
「あんたなにしてんの、助けて! ひっぱっって! あんたたちもお尻、押してっ!」