ドローンレーサー

 ラーメン屋を覗いたが、人型ロボットが作っていた。当然、支払いは電子マネーだろう。
 古野家も、すやき家もあるが、ドライブスルーみたいな窓口から、ロボットアームで牛丼がでる店づくりになっていた。
 仕方がないので我慢して歩き続ける。
 御殿場インターの辺りに来ると、懐かしいラブホテル街があった。
 相変わらずカジノのように派手な見かけは、昔と大して変わらない感じだったが、車の出入り口の他、屋上に離発着用ポートが設けてあるのか、ドローンが飛んで来た。
 スケコマシが好む、ポルテのドローンだった。またまた、笑いがこみ上げてくる。
 さらに、三十分も歩いていくと、看板に翼を生やした亀のマークと、「TURTLE DRONE MOTORS」と、大きく描かれた、懐かしい工場があった。
 それは三ヶ月前の、トタン張りの安っぽい工場ではなく、増築され、綺麗に塗装をし直された建物だった。
 もう深夜一時。
 工場の明かりが点いていたので、窓から中を覗いてみると、そこには最新型の六発、ヘキサコプターが二機、並べてあった。プロペラは反転二枚合わせの、デュアルペラ。
 前回を上回る、超弩級のモンスターマシンだというのは、一目でわかった。
 背中を丸めてジェロニモが作業をしていたが、俺の視線を感じたのか、すぐに振り返ると、無言でこっちに近づいて来る。
 俺たちはガラス窓越しに、しばらくの間、見つめあった。
 相変わらず、ジェロニモは無表情だ。
 ジェロニモが窓を開けた。
「お前、顔、変わった。悪魔になった……」
 そう言われれば、そうかもしれない。
「俺はもう遠慮はしない。とるぞ、世界チャンピオン。手伝ってくれ、兄弟。俺はやる」
 ジェロニモは黙って俺を見ていたが、しばらくすると窓から拳を突き出し、俺はそれにグーパンチで答える。
 俺はまた、心の底から笑いがこみ上げてきた。
「あっはっはっはっはっはっはっ!」
 俺が窓の外で腹を抱えて笑っていると、ジェロニモがドアを開けて、こう言った。
「今夜はブラッド・ムーン。お前、来るような気がしてた……」
 ジェロニモが笑うのを、俺は初めて見た。
 
 現在  神奈川 御殿場   

 スバルの父親と、妹の乙女は、いつものように朝食を食べていた。
 八時を過ぎると、つけっぱなしのテレビから、ハリニホンという芸人二人が声を揃えて、