「校閲部として……」
「ん? どしたのサイコーちゃん?」

 香の頭には今まで見てきた様々な情景が浮かんでいた。
 小野の演説原稿と柊の演説原稿。
 日々の生徒会活動に取り組む二人の様子。
 そして、冬木と響の間で行われた取引を見て、香はいてもたってもいられなかった。

「私ちょっと行ってきます!」

 香は廊下を駆け出す。遠のく香の後ろ姿を見送りながら冬木は今日初めて口許を弛ませた。

「あいつ、やっぱりお前に似てるな」
「そう? 俺は冬木に似てると思うけどな」
「は? どこが?」

 ふふん、と得意げに笑うと光輝は腕を組みながら歩き出す。

「どこかなー」
「お前は本当にいい加減だな」

 あきれた調子で冬木は光輝の隣に並ぶ。