ルードヴィッヒに言われて気がついた。
なぜ、自分はこんなことをしているのかと。
今日まで復讐を原動力にひたすら突き進んで来たが、初めてそれに疑問を持った。
――今、自分のやっていることは、果たして自分にとって何の利益になるのだろうか?
そもそも生きているかどうかわからない王子を探すことに、何の意味があるのだろうか?
たとえ生きていたとしても、王子が自国に戻ることを拒否したら?
エリスのやっていることは、非常に不確実なことだ。
エリスはルードヴィッヒに求婚された。
もし、ルードヴィッヒの求婚を受け入れ、結婚すれば、王妃になれる。しかも、大国の王妃だ。
そして、散り散りになっている家族を呼び寄せることもできる。
当初とは違う予定になってしまうが、エリスにとっては、目的をほぼ達成したことになる。
しかも、求婚してきた相手は、エリスも思いを寄せていたルードヴィッヒである。これ以上の条件はない。
「いきなり他国の王妃になれと言っても不安だろう。だが、君がこの学園で、男でも逃げ出してしまうような数々の苦難を見事乗り越えて来た――なんて芯の強い女性だろうと思った。妻としても王妃としても、君以上にふさわしい女性はいない」
――喜んで。
心の中では即答だった。
「少しお時間をいただけませんか」
あえて即答を避けた。自分が浮かれてしまっているのはわかっていた。だから一旦、冷静になる必要があった。
「もちろんだ。いきなり婚約者だの王妃だの言われて、君も面食らっただろう。こちらこそ悪かったね」
お互い意識してしまったせいだろうか、学校までの帰り道は、二人とも言葉少なだった。
「また明日生徒会室で……」
「はい……」
そう言葉を交わして二人は別れた。
なんとなく気まずい気がして、まともにクロードの顔が見られなかった。
「今日は疲れたから、早く休みたいのだけれど……」
「お体の具合でも?」
「べ、別にそういうわけではなくて……歩き回ったから疲れただけ!」
後ろめたさからか、語尾のところで声が裏返ってしまった。
「そうですか、わかりました」
クロードは何か勘付いただろうか? ルードヴィッヒと結婚することになれば、いつかはクロードにも知られることになる。
その〈いつか〉まで、どうやって過ごすべきかエリスは悩んだ。
なぜ、自分はこんなことをしているのかと。
今日まで復讐を原動力にひたすら突き進んで来たが、初めてそれに疑問を持った。
――今、自分のやっていることは、果たして自分にとって何の利益になるのだろうか?
そもそも生きているかどうかわからない王子を探すことに、何の意味があるのだろうか?
たとえ生きていたとしても、王子が自国に戻ることを拒否したら?
エリスのやっていることは、非常に不確実なことだ。
エリスはルードヴィッヒに求婚された。
もし、ルードヴィッヒの求婚を受け入れ、結婚すれば、王妃になれる。しかも、大国の王妃だ。
そして、散り散りになっている家族を呼び寄せることもできる。
当初とは違う予定になってしまうが、エリスにとっては、目的をほぼ達成したことになる。
しかも、求婚してきた相手は、エリスも思いを寄せていたルードヴィッヒである。これ以上の条件はない。
「いきなり他国の王妃になれと言っても不安だろう。だが、君がこの学園で、男でも逃げ出してしまうような数々の苦難を見事乗り越えて来た――なんて芯の強い女性だろうと思った。妻としても王妃としても、君以上にふさわしい女性はいない」
――喜んで。
心の中では即答だった。
「少しお時間をいただけませんか」
あえて即答を避けた。自分が浮かれてしまっているのはわかっていた。だから一旦、冷静になる必要があった。
「もちろんだ。いきなり婚約者だの王妃だの言われて、君も面食らっただろう。こちらこそ悪かったね」
お互い意識してしまったせいだろうか、学校までの帰り道は、二人とも言葉少なだった。
「また明日生徒会室で……」
「はい……」
そう言葉を交わして二人は別れた。
なんとなく気まずい気がして、まともにクロードの顔が見られなかった。
「今日は疲れたから、早く休みたいのだけれど……」
「お体の具合でも?」
「べ、別にそういうわけではなくて……歩き回ったから疲れただけ!」
後ろめたさからか、語尾のところで声が裏返ってしまった。
「そうですか、わかりました」
クロードは何か勘付いただろうか? ルードヴィッヒと結婚することになれば、いつかはクロードにも知られることになる。
その〈いつか〉まで、どうやって過ごすべきかエリスは悩んだ。