「どうしてルーイ兄さまと知り合いだって教えてくれなかったの!」
ロイのエリスを責める声が室内に響き渡る。
「……知り合いも何も……試験のときにたった一度だけ会っただけなんだから、知り合いってほどのものでもないと思う……」
「いーや! あのルーイ兄さまが、他の生徒にあんなに親しげに話しかけているところなんて見たことない!」
「いや、だから……生徒会長とは本当に何にもない……」
エリスとロイは、学校から戻って来てから、延々とこんな感じの会話を交わしている。
それをクロードは、ニコニコとした笑顔を浮かべ、楽しそうに聞いている。
エリスと二人きりのとき、クロードは決して、そのような笑顔を見せたことはない。きっと来客用の笑顔なのであろう。
「アーサーとルーイ兄さまのこと、クロードさんは知っていたんですか?」
「知っているというほどではありませんが、アーサー様から実技試験のことは伺っておりました。何でもとても強い方がお相手で、全く歯が立たなかった、と」
「それだけですか?」
ロイはクロードに対しても疑いの目を向けている。
「ええ、ご期待に沿えず申し訳ございません。私も生徒会長さんがアーサー様のお相手だったと今知って、大変驚いております」
クロードは、目を見開いて驚いた表情をしてみせた。
(役者ね……。かなりの大根役者だけど)
エリスはクロードを冷めた目で見ていた。
「わかった! 信じるよ」
エリスは飲んでいた紅茶を吹き出しそうになり、激しくむせた。
「どうしたの? 大丈夫?」
「これはいけない。アーサー様、こちらをお使いください」
クロードが差し出したナプキンで口を拭いながら、
(素直と言えばそうなのでしょうけど、クロードの三文芝居をそのまま信じてしまうなんて大丈夫かしら?)
とエリスは思わずロイの身を案じてしまった。
「それで、ルーイ兄さまにはいつ会いに行くの?」
「えっ?」
「だって、ルーイ兄さまに『いつでも生徒会室においで』って言われていたじゃないか」
「生徒会長直々のお誘いですか。それは素晴らしい!」
「クロードまで! そんなの社交辞令に決まっている!」
エリスは必死に否定した。
「それに、生徒会長だってそんな暇じゃないと思うし」
「そう? ルーイ兄さまってよくその辺で昼寝しているけど。まあ、話しかけている人なんて実際にはいないけどね」
ロイのエリスを責める声が室内に響き渡る。
「……知り合いも何も……試験のときにたった一度だけ会っただけなんだから、知り合いってほどのものでもないと思う……」
「いーや! あのルーイ兄さまが、他の生徒にあんなに親しげに話しかけているところなんて見たことない!」
「いや、だから……生徒会長とは本当に何にもない……」
エリスとロイは、学校から戻って来てから、延々とこんな感じの会話を交わしている。
それをクロードは、ニコニコとした笑顔を浮かべ、楽しそうに聞いている。
エリスと二人きりのとき、クロードは決して、そのような笑顔を見せたことはない。きっと来客用の笑顔なのであろう。
「アーサーとルーイ兄さまのこと、クロードさんは知っていたんですか?」
「知っているというほどではありませんが、アーサー様から実技試験のことは伺っておりました。何でもとても強い方がお相手で、全く歯が立たなかった、と」
「それだけですか?」
ロイはクロードに対しても疑いの目を向けている。
「ええ、ご期待に沿えず申し訳ございません。私も生徒会長さんがアーサー様のお相手だったと今知って、大変驚いております」
クロードは、目を見開いて驚いた表情をしてみせた。
(役者ね……。かなりの大根役者だけど)
エリスはクロードを冷めた目で見ていた。
「わかった! 信じるよ」
エリスは飲んでいた紅茶を吹き出しそうになり、激しくむせた。
「どうしたの? 大丈夫?」
「これはいけない。アーサー様、こちらをお使いください」
クロードが差し出したナプキンで口を拭いながら、
(素直と言えばそうなのでしょうけど、クロードの三文芝居をそのまま信じてしまうなんて大丈夫かしら?)
とエリスは思わずロイの身を案じてしまった。
「それで、ルーイ兄さまにはいつ会いに行くの?」
「えっ?」
「だって、ルーイ兄さまに『いつでも生徒会室においで』って言われていたじゃないか」
「生徒会長直々のお誘いですか。それは素晴らしい!」
「クロードまで! そんなの社交辞令に決まっている!」
エリスは必死に否定した。
「それに、生徒会長だってそんな暇じゃないと思うし」
「そう? ルーイ兄さまってよくその辺で昼寝しているけど。まあ、話しかけている人なんて実際にはいないけどね」