その、僕たちを誘う言葉に紛れて、誰かの声が聞こえた。
「助けて…」
その言葉を聞いた瞬間、ボロボロの身体に力が湧いて出た。
僕と千草は、何も言わず、手と手を握り締めた。もう離れないように、指を絡め、肩と肩とを密着させる。
「千草…、僕は怖いよ」
「うん、私も怖い」
「だけど…、千草と一緒なら、大丈夫な気がするんだ」
「うん、私も、リッカ君と一緒なら、なんでもできる気がする」
目の前の悪霊が踊る。
身体中の傷に、冷たい風が入り込んで痛かった。
僕は頬の血をぺろっと舐めて、聞いた。
「ねえ、千草、これが終わったら、なにする?」
「そうだね…」
千草は息を吸い込んでから答えた。
「普通に生きていこうか」
「うん、生きていこう」
次の瞬間、僕たちと、悪霊の、最期の戦いが始まった。
あの悪霊は、今までに殺してきた人間の魂を取り込み、それを糧としていた。ならば、まず最初にやるべきなのは、悪霊に囚われた者たちの解放だった。
僕が千草に護符やお守りを渡し、千草がそれを使って除霊する。
悪霊は一層強い邪気で僕たちを圧倒してきたけど、二人で手を握り合い、肩を寄せ合い、耐えた。何もしていないのに皮膚が裂けた。鼻血が出た。咳き込んだ拍子に、血を吐いた。
自分が今どこにいるのか? 生きているのか? 死んでいるのか? 地獄にいるのか? その感覚さえも消え去る、黒い呪いの中に僕たちはいた。
生きていこう、生きていこう、生きていこう、生きていこう、生きていこう、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい…。
一心不乱にお守りと護符を握り締め、彼女の手を握り締め、ただただ祈っていた。
これが終わったら、この長い夜が明けたら、僕たちは自由の翼を手に入れている。
人と笑いあい、泣き合い、手を触れ合うことが、「不幸」ではなく、宝石のように輝く「幸せ」を生み出すようになると信じて。
気の遠くなるような時間、僕たちは悪霊と戦い続けた。
そこに、光があると信じて。
「助けて…」
その言葉を聞いた瞬間、ボロボロの身体に力が湧いて出た。
僕と千草は、何も言わず、手と手を握り締めた。もう離れないように、指を絡め、肩と肩とを密着させる。
「千草…、僕は怖いよ」
「うん、私も怖い」
「だけど…、千草と一緒なら、大丈夫な気がするんだ」
「うん、私も、リッカ君と一緒なら、なんでもできる気がする」
目の前の悪霊が踊る。
身体中の傷に、冷たい風が入り込んで痛かった。
僕は頬の血をぺろっと舐めて、聞いた。
「ねえ、千草、これが終わったら、なにする?」
「そうだね…」
千草は息を吸い込んでから答えた。
「普通に生きていこうか」
「うん、生きていこう」
次の瞬間、僕たちと、悪霊の、最期の戦いが始まった。
あの悪霊は、今までに殺してきた人間の魂を取り込み、それを糧としていた。ならば、まず最初にやるべきなのは、悪霊に囚われた者たちの解放だった。
僕が千草に護符やお守りを渡し、千草がそれを使って除霊する。
悪霊は一層強い邪気で僕たちを圧倒してきたけど、二人で手を握り合い、肩を寄せ合い、耐えた。何もしていないのに皮膚が裂けた。鼻血が出た。咳き込んだ拍子に、血を吐いた。
自分が今どこにいるのか? 生きているのか? 死んでいるのか? 地獄にいるのか? その感覚さえも消え去る、黒い呪いの中に僕たちはいた。
生きていこう、生きていこう、生きていこう、生きていこう、生きていこう、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい…。
一心不乱にお守りと護符を握り締め、彼女の手を握り締め、ただただ祈っていた。
これが終わったら、この長い夜が明けたら、僕たちは自由の翼を手に入れている。
人と笑いあい、泣き合い、手を触れ合うことが、「不幸」ではなく、宝石のように輝く「幸せ」を生み出すようになると信じて。
気の遠くなるような時間、僕たちは悪霊と戦い続けた。
そこに、光があると信じて。