『深澤先生も、悠真を救ってくれてありがとう。俺、他の人が絶対に振ってこない話題を先生だけが振ってくれたから、先生と話すの本当に楽しかったんだよね』

「お前、何言ってんだよ。俺はいつだって生徒の味方だぜ?」

『じゃあ、悠真にも俺にしてくれた話と同じ話をよろしくね。あ、言い忘れてたけど、俺がおススメだったセクシー……』

「わーっ! 俺が言うから、斗真は言うなっ!」


兄貴、深澤先生の前では唯一素を出せていたのか。

優等生に何を吹き込んでるんだって、先生に対して呆れてたけれど全然違ったんだな。

ちゃんと、いい先生やってたんだな、深澤先生は。

ユラユラとしていた兄貴の姿が少しずつ消えていくように、薄くなっている事に気付いた。


『……あ、そろそろバイバイかも』

「兄貴、また会えるよな?」

『ハハハ。もう心残りはなくなったから、そろそろ生まれ変わらせてよ。その時はもう全く別の姿だろうし、前世の記憶はないだろうけどさ。……今度はちゃんと自分の意思を持って生きようと思う』


そう決意表明した兄貴の姿は、今まで見た事がないくらいスッキリした、やり切ったような表情で、カッコ良かった。