※
ふと、押入れの中に電子ピアノが入っていることを思い出した、
僕はがばっと立ち上がると、押入れの中に身体を滑り込ませて、それを引き出す。
以前、兵頭が転売をするつもりで、ホームセンターの安売り市で買ったものだった。置き場所が無くて僕に預けたのだが、今となっては、買った本人も存在を忘れている代物だった。
「……」
ナイロン袋から取り出す。
まだ開封されていなくて、ホームセンターのシールが貼ったままだった。
僕はそれを、萩上に持っていくことにした。
※
次の日、僕は脇に電子ピアノを抱えて、萩上のアパートを尋ねていた。
いつも通り、勝手に扉を開けて中に入る。
萩上は、破った新聞の上ですうすうと眠っていた。
僕の気配に気が付いて、目を開ける。
「ああ、来たんだ」
別に来なくてもいいのに。そう言って、萩上はのそっと身体を起こした。
僕が持っている電子ピアノの箱に気が付き、目をぱちくりとさせた。
「…何それ」
「ああ、プレゼント」
僕は電子ピアノをズタズタになった絨毯の上に置き、テープを剥いで開封した。
「前に、兵頭が転売目的で買っていたんだ。あいつ、僕の部屋に預けていたんだけど、すっかり忘れていてさ」
中から、プラスチックでできた本体を取り出す。小さくて安い見た目の割には、МPプレイヤーとか、録音、フリー素材のSEと、かなり機能が多い。アマゾンのレビューを見ても、コストパフォーマンスを賞賛する声が多く見られた。
「本物に比べたら音は劣るだろうけど、それでも楽しめると思うよ」
僕はそう言いながら、部屋の隅のコンセントに電源を差し込み、電子ピアノのスイッチを入れた。音量の調整はかなり細かくできる。近隣に迷惑を掛けることはないだろう。
「あ、あと、これも」
僕はナップサックの中から、先ほど電機屋で買ってきたばかりの、ヘッドホンを取り出した。
「音が気になるなら。これを使いなよ。僕の金で買ったけど、気にするな」
何も無い部屋に引きこもる彼女の退屈を少しでも凌いでやろうと買ったものだ。軽量で、クリアな音が出るものを選んだ。値段はそれなりに張ったが、これから、彼女の世話をすることで大金が入る予定の僕に怖いものは無かった。
「ほら、使ってみなよ」
そう言って、彼女に電子ピアノと、ヘッドホンを渡す。
「………」
萩上は、ピアノの白と黒の鍵盤をじっと眺めた。
しなやかな指が、そっと鍵盤に触れる。
僕は唾を呑み込んでそれを見た。
彼女の演奏を、久しぶりに聞くことができる。
あの時、僕たちのクラスを優勝に導いた、あの演奏が、僕の目の前で行われようとしている。
そう、固唾を呑んだ。
次の瞬間、萩上は、電子ピアノの下に指を滑り込ませた。
掬いあげるようにして、華奢な腕で持ち上げる。
そして、無表情のまま、それを振り上げた。
「え?」
身の危険を察知した僕は、蹴り飛ばされたようにその場から後ずさった。
ガシャンッ!
と、激しい音が響く。
茫然とする僕の前で、電子ピアノの鍵盤がバラバラに散らばった。
萩上は、目を細めて僕を睨みつけると、一仕事終えたように、手を払った。
「な、何やってんだよ」
「次に私の前にピアノを持ってきたら、あなたの頭に叩きつけるから」
いや、さっき叩きつける勢いだったよな。
萩上は、さらに電子ピアノを裸足で踏みつけにした。ガンガンと、何度も、何度も、何度も踏みつぶした。プラスチックのボディに亀裂が入り、破片が飛び散る。中の電子回路が丸見えになった。それでも、彼女はそれを踏みつぶした。
アマゾンのレビューにあった、「ボディがプラスチックなので、耐久性は低めです。角をぶつけただけで割れてしまったので、★です」というコメントを思い出した。
僕も書いてやるかな? 「女の子が叩きつけたので壊れました。★です」って。
萩上は髪の毛を振り乱しながら、ひたすらに電子ピアノを踏みつけた。尖った部分で切ったらしく、絨毯に血が滲んでいた。
そろそろ止めるべきと思い、下の階の人間に迷惑だろう。と言おうとした瞬間、「下には誰もいない」と言われた。
結局、萩上は足の裏が血まみれになるまで電子ピアノを踏み続けた。
そして、粉々になったピアノの残骸を指さし、「片づけておいて」とお嬢様顔で言った。
「あのな、人が持ってきたものを、普通壊すかな?」
「私は頼んでない」
「ああ、そう」
僕は、破片を燃えないゴミの袋に詰めた。自分で買ったわけではないので、別に惜しいとは思わなかった。それよりも、彼女の機嫌を損ねてしまったことを悔いた。
萩上は絨毯の上に座って、血まみれの足を僕に差し出した。
「ほら、絆創膏貼って」
「はいはい」
先日、萩上にやられた頬の傷が癒えていなかったので、僕は大きめの絆創膏を常備していた。
「悪かったな、余計なことして」
傷から流れる血を、濡らしたガーゼで拭う。くすぐったいのか、それとも痛いのか、彼女は肩を震わせて、僕の鼻先を軽く蹴った。
暴れる魚を網に入れるみたいに、彼女の足を押さえつけて、何とか傷に絆創膏を貼った。
足を抑えられたことが気に入らなかったみたいで、萩上は僕を何度か蹴った。
「良かれとおもって持ってきたんだ」
「なによ、恩着せがましい」
「本心を、言えば、お前の演奏がもう一度聞きたかったのもある」
「……」
萩上は一度口を噤んでから、言った。
「覚えていないわよ。昔の合唱曲なんて」
それでも、合唱コンクールのことを覚えてくれていた。
「萩上は、ピアノが、嫌いなのか?」
「大っ嫌い」
萩上は、白い鍵盤を手の中で転がした。そして、パキリと半分に折った。
おもしろそうに笑う。
「これ、簡単に折れるわね。家にあったグランドピアノはそうはいかないけど」
「家にグランドピアノあるんだ」
「なんでもあるわ。無いのは愛情だけ」
「え…」
その意味深長な言葉に、僕が身を乗り出した瞬間、折れた鍵盤が飛んできて、僕の額に直撃した。意外に痛く、僕は額を抑えて蹲った。
その傍らで、萩上は燃えないゴミの袋を手繰り寄せ、中に入っていた鍵盤だけを取り出して一つ一つ折っていった。
パキリ、パキリ、パキリ、パキリ。
彼女がプラスチックの鍵盤を半分に折る音が、クーラーの効いた部屋にこだまする。
折れた鍵盤が、次々と僕の方に投げられた。
「あのね…」
僕は喉元まで出かかった文句を呑み込み、その鍵盤を再びゴミ袋に入れた。
電子ピアノを拒否されたということは、このヘッドホンの存在価値も無くなった。
兵頭にでも売りつけるかな。
そんなことを考えて、鍵盤の破片と一緒に、ヘッドホンの箱を拾い上げようとすると、それを萩上がひったくった。
「これはダメ」
「え、いるの?」
「ダメなの?」
「ダメじゃないけど」
僕は萩上の部屋を見渡した。
「音楽を聞く機械が、無いんじゃないか?」
すかさず、萩上が鍵盤を投げて、僕の額に当てた。
むすっとした顔で、僕に命令する。
「買ってきてよ。CDと、プレイヤー」
そう来るか。
CDプレイヤーなら、持っているので問題は無い。
「じゃあ、どんな曲が聞きたいの?」
「なんでもいい」
「なんでもいいって…、一番困るな」
ふと、彼女がスマホを持っていることを思い出した。
「じゃあ、こうしよう。スマホ、貸してくれよ」
このご時世、「サブスク」というものがある。月々金を払っていれば、音楽や動画をいくらでも聞いたり見たりできるあれだ。
萩上は眉間に皺を寄せたものの、すぐに押入れの中からスマホを取り出して僕に渡した。
彼女のスマホは、ひと昔前の型で、表面の液晶に蜘蛛の巣のような亀裂が走っていた。電源を入れて、ガラス片で指を切らないように注意しながら操作をする。
どの会社がいいかわからなかったので、自分のスマホで調べながら、一か月間無料の音楽配信サービスに会員登録をした。
アドレスのこととか、アカウントのIDとか、パスワードとか、プリペイドカードを使った課金の仕方を萩上に説明したが、彼女は興味無さげに頷き、「桜井君に全部任せる」と言った。全て任された僕は、メモに記録して、自分のポケットに仕舞いこんだ。
全てが終わると、萩上にスマホを返した。
「ほら、これで、一か月は音楽聞き放題だから」
好きな曲を検索して、ダウンロードしてみな。
そう言うと、萩上はたまごっちでも持つみたいに、そっとスマホを握り、恐る恐る液晶を操作していた。
「ヘッドホン、使うんだろ?」
ヘッドホンの箱を開けて、保護シールを取り除く。
萩上は黙ってヘッドホンを受け取ると、艶やかな黒髪をくしゃっとしながら、頭に装着した。
細いプラグを、スマホに差し込む。
病人みたいに真っ白だった彼女の頬が、花が咲いたみたいに、薄紅に染まった。
「あ…」
思わず、口がぽかっと空いた。
何を聞いているのかは教えてくれなかったが、萩上はヘッドホンを装着し、身体を小刻みに揺らしながら音楽を楽しんでいた。
喜んでもらえて何より。と言いたいところだったが、僕の言葉には全く反応を示してくれなくなった。
そこだけが、残念でならなかった。
ふと、押入れの中に電子ピアノが入っていることを思い出した、
僕はがばっと立ち上がると、押入れの中に身体を滑り込ませて、それを引き出す。
以前、兵頭が転売をするつもりで、ホームセンターの安売り市で買ったものだった。置き場所が無くて僕に預けたのだが、今となっては、買った本人も存在を忘れている代物だった。
「……」
ナイロン袋から取り出す。
まだ開封されていなくて、ホームセンターのシールが貼ったままだった。
僕はそれを、萩上に持っていくことにした。
※
次の日、僕は脇に電子ピアノを抱えて、萩上のアパートを尋ねていた。
いつも通り、勝手に扉を開けて中に入る。
萩上は、破った新聞の上ですうすうと眠っていた。
僕の気配に気が付いて、目を開ける。
「ああ、来たんだ」
別に来なくてもいいのに。そう言って、萩上はのそっと身体を起こした。
僕が持っている電子ピアノの箱に気が付き、目をぱちくりとさせた。
「…何それ」
「ああ、プレゼント」
僕は電子ピアノをズタズタになった絨毯の上に置き、テープを剥いで開封した。
「前に、兵頭が転売目的で買っていたんだ。あいつ、僕の部屋に預けていたんだけど、すっかり忘れていてさ」
中から、プラスチックでできた本体を取り出す。小さくて安い見た目の割には、МPプレイヤーとか、録音、フリー素材のSEと、かなり機能が多い。アマゾンのレビューを見ても、コストパフォーマンスを賞賛する声が多く見られた。
「本物に比べたら音は劣るだろうけど、それでも楽しめると思うよ」
僕はそう言いながら、部屋の隅のコンセントに電源を差し込み、電子ピアノのスイッチを入れた。音量の調整はかなり細かくできる。近隣に迷惑を掛けることはないだろう。
「あ、あと、これも」
僕はナップサックの中から、先ほど電機屋で買ってきたばかりの、ヘッドホンを取り出した。
「音が気になるなら。これを使いなよ。僕の金で買ったけど、気にするな」
何も無い部屋に引きこもる彼女の退屈を少しでも凌いでやろうと買ったものだ。軽量で、クリアな音が出るものを選んだ。値段はそれなりに張ったが、これから、彼女の世話をすることで大金が入る予定の僕に怖いものは無かった。
「ほら、使ってみなよ」
そう言って、彼女に電子ピアノと、ヘッドホンを渡す。
「………」
萩上は、ピアノの白と黒の鍵盤をじっと眺めた。
しなやかな指が、そっと鍵盤に触れる。
僕は唾を呑み込んでそれを見た。
彼女の演奏を、久しぶりに聞くことができる。
あの時、僕たちのクラスを優勝に導いた、あの演奏が、僕の目の前で行われようとしている。
そう、固唾を呑んだ。
次の瞬間、萩上は、電子ピアノの下に指を滑り込ませた。
掬いあげるようにして、華奢な腕で持ち上げる。
そして、無表情のまま、それを振り上げた。
「え?」
身の危険を察知した僕は、蹴り飛ばされたようにその場から後ずさった。
ガシャンッ!
と、激しい音が響く。
茫然とする僕の前で、電子ピアノの鍵盤がバラバラに散らばった。
萩上は、目を細めて僕を睨みつけると、一仕事終えたように、手を払った。
「な、何やってんだよ」
「次に私の前にピアノを持ってきたら、あなたの頭に叩きつけるから」
いや、さっき叩きつける勢いだったよな。
萩上は、さらに電子ピアノを裸足で踏みつけにした。ガンガンと、何度も、何度も、何度も踏みつぶした。プラスチックのボディに亀裂が入り、破片が飛び散る。中の電子回路が丸見えになった。それでも、彼女はそれを踏みつぶした。
アマゾンのレビューにあった、「ボディがプラスチックなので、耐久性は低めです。角をぶつけただけで割れてしまったので、★です」というコメントを思い出した。
僕も書いてやるかな? 「女の子が叩きつけたので壊れました。★です」って。
萩上は髪の毛を振り乱しながら、ひたすらに電子ピアノを踏みつけた。尖った部分で切ったらしく、絨毯に血が滲んでいた。
そろそろ止めるべきと思い、下の階の人間に迷惑だろう。と言おうとした瞬間、「下には誰もいない」と言われた。
結局、萩上は足の裏が血まみれになるまで電子ピアノを踏み続けた。
そして、粉々になったピアノの残骸を指さし、「片づけておいて」とお嬢様顔で言った。
「あのな、人が持ってきたものを、普通壊すかな?」
「私は頼んでない」
「ああ、そう」
僕は、破片を燃えないゴミの袋に詰めた。自分で買ったわけではないので、別に惜しいとは思わなかった。それよりも、彼女の機嫌を損ねてしまったことを悔いた。
萩上は絨毯の上に座って、血まみれの足を僕に差し出した。
「ほら、絆創膏貼って」
「はいはい」
先日、萩上にやられた頬の傷が癒えていなかったので、僕は大きめの絆創膏を常備していた。
「悪かったな、余計なことして」
傷から流れる血を、濡らしたガーゼで拭う。くすぐったいのか、それとも痛いのか、彼女は肩を震わせて、僕の鼻先を軽く蹴った。
暴れる魚を網に入れるみたいに、彼女の足を押さえつけて、何とか傷に絆創膏を貼った。
足を抑えられたことが気に入らなかったみたいで、萩上は僕を何度か蹴った。
「良かれとおもって持ってきたんだ」
「なによ、恩着せがましい」
「本心を、言えば、お前の演奏がもう一度聞きたかったのもある」
「……」
萩上は一度口を噤んでから、言った。
「覚えていないわよ。昔の合唱曲なんて」
それでも、合唱コンクールのことを覚えてくれていた。
「萩上は、ピアノが、嫌いなのか?」
「大っ嫌い」
萩上は、白い鍵盤を手の中で転がした。そして、パキリと半分に折った。
おもしろそうに笑う。
「これ、簡単に折れるわね。家にあったグランドピアノはそうはいかないけど」
「家にグランドピアノあるんだ」
「なんでもあるわ。無いのは愛情だけ」
「え…」
その意味深長な言葉に、僕が身を乗り出した瞬間、折れた鍵盤が飛んできて、僕の額に直撃した。意外に痛く、僕は額を抑えて蹲った。
その傍らで、萩上は燃えないゴミの袋を手繰り寄せ、中に入っていた鍵盤だけを取り出して一つ一つ折っていった。
パキリ、パキリ、パキリ、パキリ。
彼女がプラスチックの鍵盤を半分に折る音が、クーラーの効いた部屋にこだまする。
折れた鍵盤が、次々と僕の方に投げられた。
「あのね…」
僕は喉元まで出かかった文句を呑み込み、その鍵盤を再びゴミ袋に入れた。
電子ピアノを拒否されたということは、このヘッドホンの存在価値も無くなった。
兵頭にでも売りつけるかな。
そんなことを考えて、鍵盤の破片と一緒に、ヘッドホンの箱を拾い上げようとすると、それを萩上がひったくった。
「これはダメ」
「え、いるの?」
「ダメなの?」
「ダメじゃないけど」
僕は萩上の部屋を見渡した。
「音楽を聞く機械が、無いんじゃないか?」
すかさず、萩上が鍵盤を投げて、僕の額に当てた。
むすっとした顔で、僕に命令する。
「買ってきてよ。CDと、プレイヤー」
そう来るか。
CDプレイヤーなら、持っているので問題は無い。
「じゃあ、どんな曲が聞きたいの?」
「なんでもいい」
「なんでもいいって…、一番困るな」
ふと、彼女がスマホを持っていることを思い出した。
「じゃあ、こうしよう。スマホ、貸してくれよ」
このご時世、「サブスク」というものがある。月々金を払っていれば、音楽や動画をいくらでも聞いたり見たりできるあれだ。
萩上は眉間に皺を寄せたものの、すぐに押入れの中からスマホを取り出して僕に渡した。
彼女のスマホは、ひと昔前の型で、表面の液晶に蜘蛛の巣のような亀裂が走っていた。電源を入れて、ガラス片で指を切らないように注意しながら操作をする。
どの会社がいいかわからなかったので、自分のスマホで調べながら、一か月間無料の音楽配信サービスに会員登録をした。
アドレスのこととか、アカウントのIDとか、パスワードとか、プリペイドカードを使った課金の仕方を萩上に説明したが、彼女は興味無さげに頷き、「桜井君に全部任せる」と言った。全て任された僕は、メモに記録して、自分のポケットに仕舞いこんだ。
全てが終わると、萩上にスマホを返した。
「ほら、これで、一か月は音楽聞き放題だから」
好きな曲を検索して、ダウンロードしてみな。
そう言うと、萩上はたまごっちでも持つみたいに、そっとスマホを握り、恐る恐る液晶を操作していた。
「ヘッドホン、使うんだろ?」
ヘッドホンの箱を開けて、保護シールを取り除く。
萩上は黙ってヘッドホンを受け取ると、艶やかな黒髪をくしゃっとしながら、頭に装着した。
細いプラグを、スマホに差し込む。
病人みたいに真っ白だった彼女の頬が、花が咲いたみたいに、薄紅に染まった。
「あ…」
思わず、口がぽかっと空いた。
何を聞いているのかは教えてくれなかったが、萩上はヘッドホンを装着し、身体を小刻みに揺らしながら音楽を楽しんでいた。
喜んでもらえて何より。と言いたいところだったが、僕の言葉には全く反応を示してくれなくなった。
そこだけが、残念でならなかった。