「ドラゴンの領地にこういう街を作りました。ここの住民としてスラムの人たちを呼び寄せたいのです」
「ちょ、ちょっと待って、この高い建物は何かね?」
「あぁ、この一番高いのがオフィスビルで、低いビル群がタワマン、住居です」
「ほわぁ……。こんなのどうやって建てたの?」
 王様は圧倒されながらレオに聞いた。
「シアンがエイッて建てたんです」
「きゃははは!」
 シアンはうれしそうに笑った。
 王様はシアンの方を向いてただ茫然(ぼうぜん)と見つめていた。
「お父様、スラムの人たちを引き取るのは、ニーザリにとってもいい事でしょ?」
「それはそうだが……。それには安全保障条約とか脅威にならない保証を得ないと……」
 王様は困惑した。こんなオーバーテクノロジーを実現するドラゴンの国とどう付き合ったらいいのか皆目見当がつかなかったのだ。

「別にニーザリを攻めたりせんよ。条約なら問題ない。レオ、ええじゃろ?」
「うん、僕は大丈夫」
「ちょっと待って、君が意思決定者なのか?」
 王様が驚いてレオを見る。
「あ、自己紹介がまだでしたね。この国、アレグリスの国王のレオです」
 そう言ってレオはニコッと笑った。
「こ、国王……?」
 唖然(あぜん)とする王様。
 前代未聞の恐るべき国を率いる存在が、まだ幼いこの子供だという事実に、王様は困惑する。この少年との付き合い方がニーザリの将来をも左右するのだ。王様はただ茫然(ぼうぜん)とレオを見つめた。










3-14. 夢の強さ

「まぁ、国王と言っても、権力を持つのは一時的じゃがな。体制が整ったら国権は議会に移譲される」
 レヴィアは淡々と説明する。
「レ、レオさんは何か特別な……方なのかね?」
 困惑しながら王様が聞く。
「ただの奴隷あがりの何もできない子供です」
 ニコッと笑ってレオは言った。
「奴隷あがり……」
「あ、でも、貧困と奴隷をこの世界からなくそうと誓ってるのは特別かも?」
 レオはちょっと首をかしげて言った。
「レオはね、自由の国を命がけで作るんだって。そんな子なかなかいないでしょ?」
 シアンがニコニコしながら言う。
「国づくりの発案者……ということ……か。しかし、国というのはそう簡単に作れる物じゃない。理想だけでは国は回らんぞ」
 王様はいぶかしげにレオを見る。