レオがウソ発見器に向かってそう言うと、グラフは緑に振れた。
「おぉ、お主は良い子じゃなぁ……」
 レヴィアはうれしそうにレオの頭をなで、レオは少し照れた。
「じゃあ、レヴィア様嫌い!」
 レオがそう言うと、グラフは赤に振れた。
「うむうむ」
 レヴィアはご満悦だった。
「そしたら、これを入国審査に使えばいいってことですよね?」
 ウソ発見器に感心しながらオディーヌは言った。
「そうじゃな。『犯罪を犯しません』って宣誓させて、赤くなった人には入国をお断りすればいい」
「でも、考えを改めたら入れてあげたいよね」
 レオは言う。
「そうじゃな、毎日パンを配りながら生活を安定させ、心に余裕を持たせてもう一度宣誓してもらえばええじゃろ」
「うんうん、みんなに来てもらいたいからね!」
 レオはニコニコして言う。
「そうと決まれば、お父様に話してくるわ!」
 オディーヌは元気に立ち上がり、レヴィアにつなげてもらった空間から王宮へと入って行った。

       ◇

 その日の午後、一行は王宮におもむいた。
 豪奢な会議室に通され、メイドが紅茶を丁寧にサーブしていく。薄い純白のティーカップには可愛い赤い花の装飾が施されており、気品が漂っていた。きっと名のある職人の手による物だろう。
 レオは静かに紅茶を飲みながら、何度も王様に頼む事を思い出し、確認する。

 手の込んだ刺繍が施されたレースのカーテンには柔らかな日差しが当たり、室内をふんわりと照らしていた。

 シアンがお茶菓子のクッキーを美味しそうに食べる、ポリポリという音が静かな室内に響く……。

 ほどなくして王様が現れた。
「ようこそお越し下された。娘も世話になっていて申し訳ない」
 王様は席に着くと一同を見回しながら威厳のある声で切り出した。
「オディーヌには助けてもらっています」
 レオはそう言ってニコッと笑った。
 王様は小さな少年、レオが答えたことにちょっと驚いて言う。
「それで今日は何やら提案があるとか……」
「スラムの人たちを僕たちの国で引き取りたいんですが、いいですか?」
 レオはニコッと笑って言った。
「え!? あの人たちを?」
「そうです、そうです。まずこれを見てください」
 レオがそう言うと、オディーヌがパソコンで街の動画を見せた。
「な、なんだ……、これは……」
 驚く王様。