レオはうれしそうにみんなを見回す。
「あっ、大切なことなんだからじっくり考えて!」
 慌てるオディーヌ。
「僕はいいと思うよ~」
 シアンは赤ら顔でそう言って、ワイングラスをキューっと空けた。
「喜びの大地、アレグリス……ね。いい感じじゃな」
 レヴィアはちょっと渋い顔で言った。
「意味も音もいいんだからこれにしよう!」
 レオはうれしそうにグッとこぶしを握った。










3-11. アットホームな職場です

「で、明日は何するんだい?」
 レオは、
「えっとね。日本のネットに人材募集広告を出そうと思うんだ」
 そう言ってニコッと笑った。
「へ!? 日本に?」
 驚くレヴィア。
「だって、『IT分かる人いないとこの国回せない』ってオディーヌが言うんだもん」
 オディーヌが続けた。
「国の管理は結局情報の管理で、そのためには情報システムが不可欠ですよね? それってこの星の人には無理ですよ」
「いいね!」
 赤ら顔のシアンはサムアップしながら上機嫌に言った。
「いやいやいやいや、そんなの管理局(セントラル)に怒られますし、そもそも地球の管理者が許すわけないですよ!」
 レヴィアが立ち上がって断固とした調子で言った。
「『いい』って」
 シアンが答える。
「へ!?」
「ヴィーナさんが『構わない』って言ってるよ」
 シアンはニコニコしながら言う。
「え? あ……、そ、そうですか……」
 レヴィアはそう言いながらゆっくり腰を下ろした。
「それでですね、国民全員にスマホを配りたいんですが……、大丈夫ですか?」
 オディーヌは恐る恐る言う。
「いいよ!」
 シアンは即答する。
「いやいや、スマホ配ったら基地局建ててSIMカードや番号管理システム動かさないとならないですよ?」
 レヴィアが眉間にしわを寄せて言う。
「ん~、任せた!」
 シアンは酔いの回った声で返す。
「ま、任せたって……、メッチャ大変なんですが……。とほほ……」
 レヴィアはガックリとうなだれた。

       ◇

 翌日、日本のネットは奇妙なSNSへの投稿で持ちきりだった。

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異世界で国づくり! フルスタックエンジニア募集!
アットホームな職場です♡

◆概要
異世界で十万人の国を作る事になりました。国民には全員スマホを配ります。