「綺麗だね……」
 レオはそっとつぶやく。
 すると、一台のバスが静かに大通りを走ってきてバス停に留まった。
「あれ? 誰かいるの?」
 オディーヌが驚く。
「あれは自動運転じゃよ。テスト運行させとるんじゃ。ぶっつけ本番では怖いからのう」
「自動運転……、何でもアリですね……」
 オディーヌはゆっくり首を振った。

 レオが描いた自由の国は、こうしてたった一日で主要機能を備えてしまった。もちろん、ハードウェアが整っても動かし、使う人がいなければただのゴーストタウンである。国づくりはいよいよ勝負所へと差し掛かっていく事となる。


















3-9. ヒレステーキ 280g

「あー、疲れた――――! お腹すいたよ――――!」
 シアンはそう言ってソファーに倒れ込み、手足をバタバタとさせて暴れる。
「あー、何食べますか?」
「ウーバーイーツでみんな好きなの頼もう!」
 シアンが元気に答える。
「へ!? 出前ですか!?」
「田町のうちの会社に届けてもらえばいいじゃん! レヴィアは頭固いんだからぁ~」
「いや……、あそこ、全宇宙の最高機関ですよ? 出前なんて届けさせちゃったら消されそうですが……」
「んなことないよ。みんな使ってるよ」
 そう言いながらシアンは寝っ転がってiPhoneをいじる。
「じゃ、会社からの引き取りはお願いしますよ。私なんかが気軽に行けるようなところじゃないんですから……。怖い怖い……」
 レヴィアはそう言ってブルッと体を震わせた。
「はいはい……。あ、僕これ! ヒレステーキ 280g (ライス無) ね」
 シアンはそう言って情報をレヴィアのiPhoneに送った。
「ステーキ! ステーキいいですね! 私もこれにしようかな……」
 レヴィアは肉の写真を食い入るように見つめる。
「えっ、僕もステーキがいいな……」
 そう言ってレオはレヴィアのiPhoneをのぞき込んだ。
「あはは、280gはお主じゃ食べきれんぞ」
 するとオディーヌは、パソコンを見ながら
「私はリブロースがいいな」
 と、言った。
「へ? 自分で検索したのか? お主、もうそんなことまでできるのか?」
「ふふっ、午後にパソコンを必死に頑張ったんです」
 そう言ってニコッと笑った。
「あっ! そうだ、サラダもどこかで頼んどいてね」