木の生い茂る山の稜線にいきなり現れた神殿は、澄み通った宮崎の青空の元で陽の光を浴び、林立する純白の柱を美しく浮き上がらせる。屋根のところのドラゴンはタワマンと同じオレンジ色のタイルがあしらわれ、街の風景ともなじんでいた。
「綺麗……」
 オディーヌはウットリとして眺める。
「うちの国のシンボルですね!」
 レオはうれしそうに言った。
「うむ、我の威光が隅々にまでいきわたるのう」
 レヴィアは上機嫌だった。
「あそこにはどうやって行くんですか?」
 オディーヌがシアンに聞いた。
「え? 行けないよ?」
「へ!?」
 驚くレヴィア。
「だって、一般人には近づくこともできない白亜の神殿って方がカッコいいじゃん」
「どこからも見えるけれども誰にも行けない……。確かにイイかも……」
 レオがうなずきながら言う。
「え? 誰も……こないの? そ、そうなの?」
 レヴィアはそう言って、寂しそうに肩を落とした。

     ◇

「さて、午後はどうしようか?」
 シアンがみんなに聞いた。
「スタジアムとかを建てようよ!」
 レオがうれしそうに両手を上げる。
「うんうん、商業地ね」
「病院と学校もですな」
 レヴィアが言う。
 すると、オディーヌは、
「あのー、パソコンを一つ欲しいのですが……」
 と言った。
「あ、そうだね。じゃあ、オディーヌはパソコンで調べものしてて」
 そう言ってシアンは、MacBook Proの16インチモデルとパソコン操作の本をドサドサッと出した。
「うわっ! あ、ありがとうございます!」
 オディーヌはずっしりとした鈍く銀色に輝くMacBookを手に取り……、どうしたらいいのか分からず困惑する。
「どれ、基本を教えてやろう」
 レヴィアはMacBookを取り上げると、パカッと開いて電源ボタンを押した。

     ◇

 夕方になって宵闇が迫ってくる頃には街の整備はほぼ終わった。
 道には街灯がともり、ショッピングモールやオフィスビル、消防署に美術館など各建造物にはライトアップが施されており、静かな夜の訪れの中で街は綺麗に光のハーモニーを奏で始める。
 大通りには大きなイチョウ並木が整備され、丁寧なライトアップが上質な街の雰囲気を演出している。
 パーティールームに集まった一行は街を見下ろしながらその光のハーモニーを感慨深く眺めていた。