「これ……、上手くいきますか?」
 レヴィアは首をかしげながら聞いた。
「さぁ? やってみよう!」
 シアンはそう言うと両手をバッとあげた。
 すると、一行の周りのあちこちから轟音が上がり、タワマンがニ十本、ニョキニョキと下から生えてきた。
「へっ!?」「すごーい!」「うわぁぁ!」
 驚く三人。
 生えてきたタワマンはきっちり五十階、青空にどこまでも高く伸び、威容を放ちながらみんなを囲んだ。各階には丁寧に作られたベランダがあり、オレンジ色を基調としたタイル張りでスタイリッシュなデザインが見事だった。大きな窓ガラスが陽の光を反射しその存在感を際立たせる。
「空からも見てみよう!」
 シアンはそう言うと、レオとオディーヌを両脇に抱えてツーっと飛んだ。タワマンの間をすり抜けながら徐々に高度を上げていく。
「うわぁ~」「見事ね……」
 二人とも先進的なビルの作り、デザインに(とりこ)となる。

 角部屋は全面ガラス張りで中の様子が少し見える。中にはすでに家具が配置されており、すぐにでも住み始められそうだ。
 どんどんと高度を上げていくと、さっき置いたブロック通りの配置になっているのが分かる。だだっ広い平原に建つニ十本のタワマン。それはさっきまで何もなかった原野をあっという間に先進都市へと変えてしまった。
「これが……僕の国……?」
 レオがつぶやく。
「どう? 気に入った?」
 シアンがニコニコしながら聞く。
「うん! 最高! 僕は丸太小屋を、みんなで作っていくのかと思ってたんだ」
「ははは、いまから丸太小屋四万戸に変える?」
「いや、これがいいよ。新しい国なんだもん、こうでなくっちゃ!」
 レオはうれしそうに答える。
「確かにこれ見たらみんな驚くわ。新しい事をやろうとしていることがビシビシ伝わってくるし、とてもいいかも……」
 オディーヌは瞳をキラキラさせながら言った。
 二人ともタワマンの威容に感動しながら、しばらく林立するタワマン群を見入っていた。

      ◇

「もう住めるの?」
 地上に戻ってきたレオはタワマンを見上げながら聞いた。
「住めちゃうんだなこれが」
 うれしそうにシアンは言った。
「いやいや、電力無かったら住めませんよ。上下水道も……」
 突っ込むレヴィア。
「レヴィアは細かいなぁ……」