宇宙の根源(エッセンス)の煌めきは、やがて静かに消えていった。
「他にそんなことできる人はいるの?」
 レオが聞く。
「僕だけだね。でも、パパはあの数字のあり方を規定できる。だから、パパと戦えば勝てるけど、本質的にはパパの手のひらの上からは出られないんだ」
「何……言ってんだかわからないよ……」
 レオは困惑した。
「無理に理解せんでいいぞ。人間には到底理解できん世界じゃからな」
 レヴィアはそう言って静かに首を振った。
「そう言えば、さっき蒸発させちゃった星の人たちはどうなっちゃったんですか?」
 オディーヌが心配そうに聞く。
「あ、あの星? もう元に戻しておいたよ」
「え!? 蒸発させた星を戻せるんですか?」
「この世の理を知ってるからね」
 シアンはニコニコしながら言う。
 オディーヌとレオは顔を見あわせ、言葉を失ってしまった。









2-11. ドラゴン遊覧飛行

「さて、せっかく来たんだから東京を案内してあげよう」
 そう言って、シアンはみんなを引き連れて屋上へと移動した。

 地上二百三十メートルに吹く風はさすがに強かったが、レオもオディーヌもうれしそうに三百六十度の夜景のパノラマを堪能する。
「じゃぁ、レヴィア、僕たち乗せて飛んでよ」
 無茶振りするシアン。
「え!? こ、ここでですか?」
 レヴィアは観光客がそれなりにいる屋上を見回して言った。
「大丈夫、大丈夫。飛び立っちゃえばこっちのもんだよ」
「我が乗せなくたって、普通に飛べばいいじゃないですか!」
「僕が乗りたいんだよ」
 シアンはニコニコしながら言った。
 レヴィアは目をつぶり、大きく息をつくと、
「……。じゃあ、すぐに乗ってくださいよ」
 そう言って少し離れると、ボン! と爆発音を放って巨大なドラゴンへと戻った。
「キャ――――!」「うわぁ!」「ば、化け物だぁ!」
 辺りが騒然とする。
「きゃははは! やっぱりレヴィアはこうじゃないと!」
 うれしそうなシアン。

「いいから早く乗ってください!」
 レヴィアの重低音の声が響く。
 シアンはレオとオディーヌを抱えると、ヒョイッとレヴィアの背中に飛び乗った。
「出発進行!」
 シアンは叫ぶ。
 レヴィアはバサッバサッと巨大な翼を大きくはためかせると、一気に夜空へとジャンプして離陸した。
「うわぁ!」「きゃあ!」