「そうですよ、太陽が生み出す百億年分のエネルギーを二十秒で一気に放出するんですよ? 何光年離れてたって全て焼き尽くされるはずです」
「あぁ……もうダメだ、もう止まらないみたい……」
 シアンはそう言うと、ビクンビクンと身体を痙攣させた。
 そして、しばらく放心状態になってしまった。
「シ、シアン……、大丈夫?」
 レオが心配そうに聞く。
 レヴィアは、
「ダメって言いましたよ、私は……」
 そう言って肩をすくめた。
 やがてシアンは目をパチパチとさせると、スパークリングワインのビンをガッとつかみ、一気飲みをした。
 そして、ビンをガン!とテーブルに置くと、
「いやー、レヴィアの言う通りだったよ! きゃははは!」
 と、うれしそうに笑った。
「え? どうなったんですか?」
「星がね一瞬で蒸発しちゃった。僕も射出口の裏でシールド重ねて隠れてたんだけど瞬殺だったよ」
 シアンは自分が死んだことを報告しながら、ケタケタと笑った。
「え? シアン死んじゃったの?」
 レオがビックリしていると、シアンは
「ふふっ、良くあることだよ」
 と言ってニヤッと笑った。











2-10. 宇宙の根源

「シアン様は時空を超え、命の法則も超えられるのじゃ」
 レヴィアは達観したように説明する。
「なんでそんなことができるの?」
 レオがシアンに聞く。
「この世の(ことわり)を知ってるからだよ」
 シアンはホットドッグをほお張りながら答える。
「え? 知ってるだけ?」
「そう、知ってるだけ」
「知るってそんなにすごいことなの?」
「この世界は情報でできているからね。知るということは操れるということだよ」
「うーん、どういうことかなぁ……」
 首を傾げ悩むレオ。
「世界がどうやってできているか知っているから、そこに干渉できるってことですか?」
 オディーヌが聞く。
「君は良く分かってるねぇ」
 シアンはニコニコして答えた。
「え? どうやってできてるんですか?」
「じゃ、特別に見せてあげよう!」
 そう言うとシアンはシアンは両手のひらを上に向け、何かをつぶやく。
 すると光が周囲から集まってきて、手の上でクルクルッと渦を巻いて……消えた。
「ほら、これがこの宇宙の根源(エッセンス)だよ。全宇宙はここにあるんだ」
 シアンはニッコリと笑いながら言った。