六本木ヒルズにオレンジ色にライトアップされた東京タワー、あちら側には新宿の高層ビル群、見渡す限りびっしりとビルで埋め尽くされ、宝石箱をひっくり返したような煌びやかな夜景が続いている。
「これが東京じゃよ。一千万人が住む巨大な都市じゃ」
 レヴィアは二人の後ろから説明する。
「一千万人!?」
 レオは驚いて振り返る。
「そうじゃ、ニーザリの百倍じゃな。ちなみにこの国全体では一億人以上じゃ」
「一億人……。もう想像できない量だね……」
「そんなに多いのに、一人一人はかけがえのない存在として人権を保障されて暮らしとる。まぁ、よくできた国じゃよ」
「王様は何してるの?」
「王様は……、あっちのほうに皇居というお城があってな。そこに住んどるよ」
「やっぱり王様がこの国を治めているの?」
「それが違うんじゃ。王様はいるだけで実権はない」
「え!? じゃ、誰が治めているの?」
「国民が選んだ人たちが数年ごとに変わりながら治めているんじゃ」
「すごい! 理想だね!」
「じゃが……、それでも問題はまだまだ山積みみたいじゃよ」
「いや、でも、奴隷や貧困に悩まされない国……最高ですよ!」
「うん……まぁ、そう……かもな。とりあえず、このくらいの体制が整えば国づくりも完成と言っていいじゃろうな」
 オディーヌが横から聞く。
「実権のない王様なんて、上手くいくものですか?」
「この星ではそれがスタンダードじゃよ。多くの国で王様は君臨するけど統治はしないんじゃ。そして、どこでも国民は王様が大好きじゃ」
「そ、そうなんですね……」
 オディーヌは夜景を見つめながらつぶやくように言った。









2-9. 即死する少女

「さー、三次会だ! 飲むぞー!」
 シアンはうれしそうに併設のバーにみんなを引っ張っていく。
「レヴィア! スパークリングワインをボトルでね!」
 そう言ってシアンは夜景が見える特等席に陣取った。
「シアンさんはここで生まれたんですよね?」
 オディーヌが聞いた。
「そうだよ、四年前にね。あの塔のふもと辺りで」
 そう言ってシアンは東京タワーを指した。
「よ、四年前!? じゃ、シアンさんは……四歳?」
「うふふ、バレちゃったか。きゃははは!」
 シアンは楽しそうに笑った。
「え? でも……、私よりは年上……に見えるんですが……?」
 困惑するオディーヌ。