シアンはそんなレヴィアを気にもせずにうれしそうに笑う。
「わ、我も……、飲みたかったのに……」
 レヴィアはガックリとうなだれる。
 シアンはちょっと焦って言った。
「え? あ、ゴメンね。今コピー出すからさ……」
「コピーじゃダメなんです! オリジナルが一番美味いんです! うわぁぁぁん!」
 そう言ってレヴィアはテーブルに突っ伏した。
「ゴ、ゴメンよぉ」
 青くなるシアン。
「もう知りません!」
 レヴィアはテーブルに突っ伏したまま、動かなくなってしまった。
 シアンは気まずそうな顔をしてレオとオディーヌを見る。
 オディーヌは、シアンと目を合わすと、
「王宮にはもっといいウイスキーあったと思いますよ。用意しましょうか?」
 と、レヴィアに声をかける。
 すると、レヴィアはガバっと起き上がり、
「いいのか!?」
 と、うれしそうに聞いた。
「ええ、一本くらいなら……」
「よしそれだ! 取ってきて!」
 そう言ってレヴィアは空中を指で切り裂くと両手で広げた。切れ目の向こうは王宮だった。
「じゃあ、ちょっと行ってきます」
 オディーヌはそう言って切れ目をくぐり、タッタッタと小走りに駆けて行った。

「王宮じゃからな、国一番のウイスキーがあるはずじゃぞ!」
 ワクワクしながらレヴィアはオディーヌの帰りを待つ。

 ほどなくして、オディーヌはビンを一本大切そうに持って戻ってきた。
「これでいいですか? お酒の事良く分からなくて……」
 レヴィアはビンを受け取るとラベルをジッと見る……。
「おぉ、これは! 四十五年物じゃな!」
 そう言ってうれしそうに笑った。
「レヴィア、僕にも~」
 シアンはニコニコしながら言う。
 レヴィアは渋い顔をして、
「半分ずつにしましょう」
 と、シアンをジト目で見た。
「分かったよ!」
 シアンはうれしそうに笑う。








2-7. 渋谷スクランブル

 レヴィアはジョッキに半分ずつ丁寧に分けるとシアンに渡し、
「それじゃ、改めてカンパーイ!」
 と、声を上げた。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
 みんなでジョッキをぶつける。
 そして、レヴィアもシアンもゴクゴクとウイスキーを飲んだ。

「ねぇ、ウイスキーってこうやって飲むものなの?」