2-6. 国一番のウイスキー

「二次会だよ~」
 シアンが呼びに来る。
 神殿の真ん中に大きなテーブルが広げられ、エールの樽が並べられている。そして、どこから出したのか、おいしそうな料理が並んでた。

 レオとオディーヌはジュースのジョッキ、シアンとレヴィアは樽を持った。
「おバカさんたちに邪魔されたんで飲み直し! カンパーイ!」
 シアンがそう言って樽を持ち上げる。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
 シアンもレヴィアも景気よく樽を傾けながらエールをゴクゴクと飲んだ。
「ねぇ、飲んだお酒はどこへ行くんだろうね?」
 レオは小声でオディーヌに聞く。あんなに飲んだらお腹が膨れそうなのに、見た目は全然変わらなかったのだ。
「二人のやる事を常識で考えちゃダメよ」
 オディーヌは何だか嬉しそうに言った。

「プハ――――! 美味いっ!」
 シアンは一気に樽を空けると、目をギュッとつぶってうれしそうに言った。
「シアン様、ペース早すぎですよ……」
 レヴィアはまだ半分くらい残った樽をドンとテーブルに置いた。
「次はウイスキーにするか!」
 シアンは頬を赤く染めて上機嫌で言った。
「え? それはウイスキーを出せってことですか?」
「レヴィちゃんなら美味しいの持ってるでしょ?」
 シアンはうれしそうに言う。
 レヴィアは目をつぶってうなだれ、しばらく逡巡(逡巡)した後、吹っ切れたように言った。
「分かりました! 出しましょう! 三十年物! 我の秘蔵のウイスキーを!!」
「うんうん、いいね!」
 そして、レヴィアは空中に切れ目を入れると、そこからウイスキーのビンを慎重に取り出した。
「キタ――――!!」
 盛り上がるシアンはビンを受け取ると、まじまじとラベルを読む。
「今、水と氷を用意しますからね……」
 そう言ってレヴィアは水割りセットをかいがいしく用意する。
 しかし、シアンはそんなレヴィアをしり目に、ゴクゴクとそのままラッパ飲みをしてしまう……。

「へ!?」
 レヴィアが気が付いた時はもうほとんど飲みつくされてしまっていた。
「プハ――――! 最高!」
 シアンは飲み干して言った。
 それを見たレヴィアは、
「あ……ああ……」
 と声にならない言葉を発して動かなくなった。
「あー! 美味かった!」