そう、うれしそうに答えた。そして、戻ってくるレヴィアを見つけると、
「レヴィア! お前んち行くぞ!」
 と、声をかけた。
「へっ!? う、うちですか?」
「お前、いい所住んでるんだろ? 招待しておくれ」
 ニコニコしながらシアンは言った。
「う、うち、何もないですよ?」
 レヴィアは冷や汗をかき、両手のひらをブンブンと振りながら答えた。
「えーと、宮崎ね……」
 シアンはレヴィアの言うことをスルーし、目をつぶって何かをやっている。
「あー、分かった、分かりました! ちゃんとご招待します!」
 レヴィアが焦って言う。
「え? もう魔法陣展開しちゃったよ?」
「その魔法陣にうちの神殿耐えられないのでやめてください!」
 レヴィアは泣きそうになりながらシアンに手を合わせる。
「え? 入り口作ろうと思っただけなんだけど?」
「いや、その魔法陣だと山ごと吹き飛ぶので本当にやめてください」
 そう言ってレヴィアは指先を空中でスッと動かして空間の裂け目を作ると、両手でグッと広げた。
「シアン様、どうぞ」
 するとシアンは
「樽が入んないよ!」
 そう言ってピンク色の大きな魔法陣をブワッと展開し、そのまま空間の裂け目を巨大な丸い穴としてぶち抜いた。そして、レオ達の方を見て、
「はい、二次会に行くよ~!」
 と言いながら穴を通って行った。レオ達もシアンに続いて行く。

 レヴィアは、
「これ……、どうやって閉じるのかのう……」
 と、ポッカリと開いた穴を不思議そうに眺めた。

     ◇

 穴の向こうは神殿だった。鍾乳洞のような巨大な地下の空間に作られた神殿は、純白でグレーの筋が優美に走る大理石で全面埋め尽くされており、静謐(せいひつ)で神聖な雰囲気に満ちていた。周囲には幻獣をかたどった大理石の像が配され、ランプの揺れる炎が陰影を浮かび上がらせている。

「うわぁ! すごぉい!」
 レオがそう言って感激していると、オディーヌは
「ねぇ、あっちの方に明かりが見えるわ!」
 そう言ってレオの手を引っ張って行った。
 神殿の出口の先は洞窟になっていて、少し行くと茜色の夕焼け空が見えてきた。外に繋がっていたのだ。しかし、洞窟の出口は断崖絶壁となっていて、下には湯気を上げる火口湖があり、ほのかに硫黄の匂いがする。神殿は火山の火口の脇に作られていたのだった。