「はい、そういうお話になってます」
 レオはニコニコして言った。
「いや、ちょっと……、えぇっ!?」
 レヴィアは困惑して頭を抱える。そして、レオを見ると、
「お主……、やってくれたな……」
 そう言いながらガックリと崩れ落ちた。
「いいじゃん、手伝ってやんなよ!」
 やや絡み酒となってシアンが叫ぶ。
「は、はい……。消されたら……困ります……」
 レヴィアは目をつぶったまま、そうつぶやいた。
「それに、レヴィアにも手伝ってやる理由あるんだよ」
 そう言ってシアンはジト目でレヴィアを見た。
「へ?」
 レヴィアは改めてレオをジッと見て、少し驚くと、目を閉じて大きく息をつき、ゆっくりとうなずいた。

「なんで自由な国は難易度高いんですか?」
 レオは改めてレヴィアに聞く。
 レヴィアはうんうんとうなずくと、丁寧に説明を始めた。
「人間は欲望の生き物じゃ。国は国民の欲望が生み出すエネルギーを使って産業を起こし、社会を回し、欲望に合わせた社会制度を整備し、人々をまとめ上げるのじゃ。そして、欲望ベースじゃから権力の勾配や富の勾配が前提として社会に組み込まれる。それは根源的に奴隷や貧困を生む構造となっておる。つまり、奴隷や貧困のないエコシステムを作るには欲望ではない別の力学を用いて、平等の概念を国民全員が持ちながら社会を回さねばならん。これには国民全員の高度な教育が大前提じゃ。さらに、権力者からの富の分離など、ありとあらゆる工夫が必要なのじゃ」
 レヴィアは肩をすくめる。
「そういう社会を実現した例はあるんですか?」
 オディーヌは身を乗り出して聞いてくる。
「この星には無い。じゃが、別の星で実現した例はある。ただ……、それでもなかなか貧困はゼロにはできんのじゃ。これは人の業じゃな」
 レヴィアはそう言って首を振る。
「じゃあ、僕たちが実現しようよ!」
 レオはうれしそうに言う。
「いや、お主、聞いとったか? と――――っても難しいんじゃぞ?」
「でも、不可能じゃないよね?」
 レオはニコニコして言う。
 レヴィアは目をつぶって動かなくなった。

「はい、おかわりよー」
 おかみさんが二つ目の樽を持ってきて、シアンの前にドスンと置いた。
「キタ――――ッ!」
 シアンはうれしそうにそう言うと、また上のフタをパーン! と割った。
 そして、レヴィアを見ながら、