オディーヌは王様の手を取ってせがんだ。
「お、お前が行きたいなら……、いいが……」
「ありがとう! お父様!」
 そう言ってオディーヌは王様の頬にキスをした。

 レヴィアはシアンに小声で聞く。
「研修って、何をすればよろしいのでしょうか?」
「大丈夫、大丈夫。僕も付いて行くからね」
「えっ!? シアン様も!?」
 レヴィアの厳ついウロコの額に冷や汗が見えるようだった。
「ちょっと作戦練るからさ、君も人型になってよ」
 シアンがそう言うと、
「わかりました……」
 そう言って、ボン! という破裂音と共に女子中学生のような金髪おかっぱの女の子が現れた。サリーのようなアイボリーの布を身にまとった彼女は、
「よ、よろしくなのじゃ」
 と、可愛い声で照れながら言った。
 みんなそのあまりの容姿の変わりように絶句する。
「ね、可愛いでしょ?」
 シアンはそう言ってレオにウインクをした。
「なんだかギャップがすごいね……」
 レオは困惑しながらそう言った。

「じゃあ、レヴィア! 作戦会議やるから酒でも飲めるところ行こうよ!」
 シアンはニコニコしながらレヴィアに言う。
「え? どこ行くんですか?」
 金髪おかっぱの女の子はビビりながら聞く。
「僕この星知らないからさ、レヴィアの行きつけの店行こうよ!」
「えっ? 行きつけ……ですか……?」
「何? 何か困るの?」
 シアンが顔はにこやかなまま鋭い視線でにらむ。
「あ、いやいや、行きましょう! 王都にいい店があるんです!」
「じゃ、ヨロシク!」
 シアンはそう言ってレヴィアの背中をバンバンと叩いた。
 レヴィアは苦笑いを浮かべながら、指先を空中でシュッと一直線に動かす。すると、空間の裂け目ができ、レヴィアはそれを両手で広げた。そこには別の街の風景が展開している……。







2章 難度高すぎる挑戦
2-1. 十六歳の旅立ち

「えっ!? 何これすごい!」
 レオが驚きの声を上げる。
「向こうは王都じゃ、通ってごらん」
 レヴィアは優しく言う。
 レオはオディーヌに声をかける。
「本当にいく? やめるなら今だよ」
「うふふっ、いきなりこんな魔法すごいわ! これよ! こういうチャンスを私は待っていたのよ!」