シアンはニコニコして言った。
「あー、違う星の服……なんだね……」
 レオはこんな服で王宮に入っていいものかどうか悩んだが、奴隷の服よりはマシだと思いなおした。

        ◇

 門まで来ると、衛兵が槍を持って立っていた。
 レオは事情を説明すると、しばらくして初老の男性が迎えに現れた。

「こちらでございます」
 男性はうやうやしく二人を応接室まで案内してくれた。

 パールホワイトを基調とした王宮は豪華絢爛なつくりで、あちこちに彫刻が彫られ、金の装飾が施されていた。

 陽の光が差し込む明るい応接室には大きなテーブルがあり、小さなケーキがたくさん並べられたトレーがいくつか並んでいた。
「お、ケーキだよ、ケーキ!」
 シアンはうれしそうに言う。
 レオは緊張して頬をこわばらせながら、男性の引く椅子に腰かけた。

 ティーカップが用意され、メイドがそれぞれお茶を注いでいく。

「食べていいのかな?」
 シアンがうれしそうにレオに聞く。
「ダメだよ! オディーヌ待たないと!」
「え――――」
 シアンは不満そうだった。









1-12. クリーム王子

 ほどなくしてオディーヌが現れる。
「レオにシアン、来てくれてありがとう」
 オディーヌはニッコリと微笑んで言った。
「いえいえ、お招きありがとうございます」
 レオがそう言うと、シアンは、
「これ食べていい?」
 と、さっそく食い意地を優先させた。
「も、もちろん、どうぞ」
 引き気味のオディーヌ。
「どれにしようかなぁ……」
 そう言いながらシアンは取り皿にいろんな種類のケーキを山盛りに盛った。
「いただきまーす!」
 そう言うとフォークで刺してパクパクと食べ始めた。そして、
「うま~っ!」
 と、目をつぶり、幸せそうな表情を浮かべる。
 その豪快な食べっぷりにレオもオディーヌも圧倒された。
「あれ? 食べないの?」
 シアンは口の周りにクリームをつけたままレオに聞いた。
「た、食べるよ」
 苦笑いするレオ。
 レオは小さなショートケーキを一つとって食べ、
「うわっ! すごい美味しいね!」
 と、言って笑った。
「どうぞたくさん召し上がれ」
 オディーヌはうれしそうに言う。

     ◇

 ガチャ!

 いきなりドアが開いた。
 豪奢な装飾が施された服を身にまとった若い男が入ってくる。