1-2. 襲われる王女

 まずは、レオの奴隷契約を解消しないとならない。二人は街に向かって歩き出した。
「国を作るなら衣食住をどうするか考えないと……」
 レオは首をひねる。
「それだけじゃダメだよ、水道もトイレも、道も畑も、堤防も家もぜーんぶ作んないと!」
 シアンは両手を広げてうれしそうに言う。
「えー! 全部!?」
「レオ? 国っていうのはそういうものだよ! それに、そんなのは簡単な話。僕がパパパッて作ってあげる。でも、人やシステムの問題は大変だよ。住民をどうやって集めるか? 法律や警察や役所や……、裁判所に軍隊をどう作るか? 産業も立ち上げないとだから貨幣や銀行や税金も! もー大変!」
「うわぁ……。人は身寄りのない子供たちを集めようかと思ったんだけど……」
「いい手だと思うけど、子供たちだけ集めたって国にはならないよ?」
「だよねぇ……」
「いっそのこと、この国乗っ取っちゃう?」
 シアンは悪い顔をして言った。