異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~

 シアンはレオをぎゅっとハグして、可愛い頬に頬ずりをした。

「もう、死んだかと……、思ったよぉぉぉ!」
 レオはシアンを抱きしめて叫んだ。
「悪かったね……。レオの言うとおりだよ、バージョンアップは失敗だった」
 そう言ってレオの頭をそっとなでた。

 レオはひとしきり泣くと、
「そうだ! オディーヌ、オディーヌが!」
 と、シアンの目を見て叫んだ。
 すると、シアンはニコッと笑って、
「はい、オディーヌはこちら」
 そう言って手を伸ばし、手のひらを広げた。すると、まるでマジックショーのようにオディーヌがボン! と音をたてて現れた。
「えっ?」「えっ?」
 驚いて見つめ合うレオとオディーヌ。
「オディーヌ――――!」
 レオはオディーヌに飛びついた。
「オディーヌ! オディーヌ!!」
 レオは何度も叫びながらオディーヌをきつく抱きしめる。
「レオぉ……」
 二人ともむせび泣きながらお互いの無事を喜び、温かい体温に癒されていた。
 シアンはそんな二人を温かなまなざしで見つめる。
 青と白の世界にゆったりとした優しい時間が流れた。

      ◇

 三人はレヴィアの神殿に飛ぶ。

「やぁ、レヴィア、久しぶり!」
 シアンはニコニコしながらレヴィアに声をかける。
 ソファに寝っ転がって、ポテトチップスをポリポリと食べていたレヴィアは、驚いて立ち上がった。
「こっ、これはシアン様! お見苦しい所をお見せしまして……」
「オディーヌ殺しちゃダメじゃん! 頼むよ~」
 シアンはニコニコしながら突っ込む。
「いや、面目ない……」
「でさー、レオを副管理人にしようと思うけどどうかな?」
「へっ!? そ、それは私の部下……ということ……ですか?」
「そうそう、レオのパパの後を継いでね」
 シアンは含みのある笑顔でレヴィアを見る。
 レヴィアは目をつぶって、大きく息をついた。
 そして、じっとレオを見つめ……、聞いた。
「レオ……、この星の管理をやる気はあるか?」
「この星を盛り上げる仕事だね、うん、やってみたい!」
 レオはキラキラとする瞳で言う。
「分かった……」
 レヴィアはうんうんとうなずくと、
「パパを守ってやれんで済まなかった……」
 そう言ってレオに頭を下げた。
「パパは……、誇りをもって死んでいった。誰も……、恨んでないよ」