異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~

「お子ちゃまの理想を押し付けんなって」
「僕が子供だとか関係ない、これは人として……」
「あー、うるさい! 死ね!!」
 シアンはそう叫んでレオに一瞬で迫ると、光をまとわせた手刀でレオの首めがけて振り下ろす。
「ひぃっ!」
 レオは目をつぶり、死を覚悟した……。

 ガキッ!
 衝撃音が響き……、
 ガッ、ガガガガッ!
 と、交戦音になった
「え?」
 レオが目をそっと開けると、誰かがシアンと戦っていた。
 よく見るとそれは青い髪のシアンだった。
「シアーン!」
 レオは思わず叫んだ。

 青髪のシアンは、目にも止まらぬ速度で黒髪のシアンにこぶしを打ち込んでいく。
 防戦一方の黒髪のシアンが喚く、
「くっ! なぜお前がまだ残ってんだ!」
「きゃははは! お前はテスト失格!」
 そう叫ぶと青髪シアンは腕をまばゆいくらいに光らせ、目にも止まらぬ速さで黒髪シアンの胸を腕ごとぶち抜いた。
「グフッ!」
 黒髪シアンは血を吐きながら吹き飛ばされる。
 鮮烈な赤色の血液がボタボタと水面に落ち、青の世界を濁した。
 それでも、黒髪シアンは全身光をまとい、治癒魔法で再生させながら体勢を取り直し、鋭い視線でにらみつけ、吠えた。
「旧バージョンのくせに生意気だ!」
 青髪のシアンはニヤッと笑うと、
「どんなに性能をあげても経験が伴わなきゃ実力はそんなもんでしょ?」
 そう言って黒髪シアンの背後にワープし、両手を組んで振り下ろし、黒髪シアンを水の中へと叩き落とした。
 ザッバーン! と派手な水柱が上がる。
 そして、青髪シアンはどこからともなくガラスの構造体を呼び出し、
「失敗作はさようなら~!」
 そう言いながら拳に力を込め、光をまとわせた。

「止めろ――――!」
 水から飛び出してきた黒髪シアンは叫びながら止めようとしたが、直後、ガラスの構造体は拳を受け、光をキラキラとまき散らしながら粉々に砕け散り、バラバラと水の中へと落ちて行く……。

「ぐわぁぁぁ!」
 黒髪シアンは断末魔の叫びを上げながら、湧き上がるブロックノイズの中に消えていった。

「シアーン!」
 レオは涙をポロポロとこぼしながら、シアンに向けてまっすぐに飛ぶ。
 シアンはニコッと微笑むと両手をレオに広げた。
 レオはすごい勢いでシアンに抱き着き、オイオイと泣く。
「ごめん、ごめん、怖い思いさせちゃったね……」