異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~

「えっ!? そ、そんな……。オディーヌ、オディーヌが大変なんだ! 力を貸して!」
 レオは必死に訴える。
「うーん……、それって僕に何のメリットがあるの?」
 シアンは面倒くさそうに言う。
「人生は損得勘定じゃないよ、『損をするのもいい』ってシアンも言ってくれてたじゃないか!」
「うるさいガキだねぇ……僕は損することなんてやらないの!」
 シアンは冷たい表情で肩をすくめた。
「僕は……、そんな悪い子のシアン、認めない。こんなバージョンアップは失敗だよ!」
 レオがシアンをにらんで言う。
「ほーう、認めないってどうすんの? 根源なる威力(オールマイティ)たる僕と戦うの? 小僧が? きゃははは!」
 シアンはレオを嘲笑う。しかし、レオには余裕があった。
「僕、このガラスの構造物が何か分かっちゃったんだ。これ、シアンの本体……だよね?」
 レオは構造体に手を当てて、ニヤッと笑いながら言う。
 シアンは急にレオをにらみ、構造体の中でキラキラと無数のきらめきがブワッと広がった。
「何? 壊すつもり?」
 シアンの声から余裕がなくなる。
「一旦、元のシアンに戻って! お願いだよ!」
 レオは必死に頼む。
「チッ! オディーヌは蘇生させてやる。だからその手を離しなさい」
 シアンは舌打ちをして叩きつけるように言った。
「ダメ! そんなんじゃないんだ。前の明るく楽しいシアンに戻って! そっちの方がシアンにとっても絶対いいんだから……」
 シアンは目をつぶり、大きく肩で息をすると、考え込む……。
 構造体から垂れる水滴がピチョン、ピチョンと静寂の中響いていた。

 シアンはゆっくりと目を開け、愛おしそうにレオを見て微笑む。
「分かった。そうだね、レオの言うとおりだよ。おいで……」
 そう言って、両手をレオの方に優しく広げた。
 それはあの優しかったシアンそのものの言葉だった。
「良かった! ありがとう、シアン!」
 レオはパアッと明るい表情になり、シアンの方に急いでスーッと飛ぶ。
 と、その時だった、急にシアンは悪い顔になり、
「なんて言う訳ねーだろ、バーカ! きゃははは!」
 と、悪態をつき、ガラスの構造体をどこかに退避させてしまった。















4-12. 限りなくにぎやかな未来

「えっ!? だましたの!?」
 焦るレオ。