異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~

4-12. 美しき構造体

 レオは迷わず結晶に触った。すると、レオは結晶に吸い込まれ、気がつくと白と青の世界にいた。そう、それは初めてシアンと会った時に連れていかれたシアンの内部だった。
 見渡す限りの白い世界、そして、眼下に広がるどこまでも澄んだ水……、真っ青の水平線。ついにレオはシアンのところまでこれたのだった。
 しかし、見渡す限りの水平線だけでシアンはいない。バージョンアップ中だから不在なのだろうか……。レオは心細くなり、叫ぶ。
「シアーン! おーい! シアーン!」
 しかし何の返事もない。仕方なく、レオは広大な世界を飛び回ってみる。どこまでも続く白と青だけの世界、それは純粋で清浄で、しかし、レオには不安を呼び起こす。
 レオは高度を高くとってみた。どんどんと高度を上げ白の世界をどんどんと上の方へ上の方へと行ってみる。しかし、見える風景は全く同じ、どこまでも続く水平線はただまっすぐに目の前に広がるだけだった。

「シアノイド・レクスブルー! 僕だよ――――!」
 と叫ぶが、何も起こらなかった。
 レオは困惑し、ゆっくりと辺りを観察する……。
 すると、水の中で何かがキラッと光ったのを見つけた。
「えっ!?」
 レオは急いで飛んでいく。
 近くまで行くと、水中にガラスでできたような巨大な構造体が沈んでいるのが見える。
 レオはその構造体へ向けて両手を向け、そっとパパから教わった力を込めて引っ張り上げた。
 やがて水の上に引き上げられたそれは、正八面体の形をした一軒家くらいのサイズの、巨大なガラスの構造物だった。
「なんだこれ!?」
 レオは不思議に思って構造物に近づき、観察する。構造物の内部には透明で緻密な繊維が縦横無尽に走り、キラキラと微細な光を放ち続けていた。
「うわぁ……綺麗だなぁ……」
 その不思議で見事な造形に見とれてると、
「なんだお前?」
 と、上から声がした。
 レオが急いで見上げると、そこにはシアンがいた。
 しかし、青かった髪は黒々としていて、心なしか釣り目になって険しい表情でレオを見つめている。
「シ、シアン! 僕だよ、レオだよ!」
 レオは急いで言った。
 シアンはしばらく首をかしげ……、
「あぁ、お前か。悪いがお前と仲良くしてたシアンはもういないよ」
 と、冷たく言い放った。